もう一つのモビリティ



Walkmanが発売されて30周年になるらしい。僕は今年31になったので、ほとんど同じ年だ。その間に、いろいろなものが持ち運べるようになったものだ。

今まで、大阪に18年、東京に約10年、そして今ニューヨークにいる。大阪の実家から、神戸の中学/高校に片道2時間(今考えるとすごいな)かけて通っていたのだが、ゲームボーイを買ってもらってゲームがその電車の中でできるようになったときには僕の生活に大きなインパクトがあった。大学で東京に出てきて一人暮らしをしはじめたときには、カセットテープやCDの段ボールを大阪から送る必要があった。もちろん本やマンガも。大学生活中にもCDは増えていったが、会社員生活をはじめて2003年にiPodを買ったときに、全てのCDをリッピングして、CD自体は処分した。その間も本やマンガは増え続け、引っ越しの荷物の半分くらいを占めるようになった。そしてニューヨークに引っ越しするときに輸送費が高いからとかなり絞って本やマンガを段ボールで数箱送った。

これまで、7,8回引っ越しをしている。なんとなくいつでも動けるようにと、モノは増やさないように生活してきたし、実際人にくらべてモノは少ないほうだと思う。

ここにきてKindleやその他電子書籍の普及、過去の書籍のスキャン、活字の電子化で、(今のところリッピングはできないものの)近い将来、なんらかの形で、僕の本やマンガもモノとして残す必要がなくなって大半を処分する日がくれば、僕の生活荷物は、パソコン、いくつかのガジェットと大半は服だけになる。その服だって、H&MやUniqloをシーズン毎のあなたのワードローブだと思えばかなり減る。もちろん寝る、食べる場所は必要で、家がなくなることはないが、ある都市のある家から別の都市の別の家に移るコストはどんどん下がっていく。

モノを持ち出せるという意味でのモビリティがWalkmanやゲームボーイのおかげで大きく向上し、ここにきてインターネット、ipod、Kindleなどのおかげでモノが電子化されていく過程で、自分の家、生活という範囲でのモビリティまでが向上しはじめている。

物理的、社会的重力の大きさは変わらないが、自分の質量を減らすことで、どんどん身が軽く自由になることができるのかもしれない。

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Comments

  1. ■アマゾンはビッグブラザーか! Kindleで売った『1984年』と『動物農場』を遠隔削除―Kindleも社会を変革する一つのツールになるか?
    http://yutakarlson.blogspot.com/2009/07/kindle1984kindle.html
    こんにちは。アマゾンでいったん販売した電子書籍を削除して、アメリカ国内で大問題となったそうです。草創期というのは、こういうことが起こりがちなものです。しかし、このkindle、アメリカでかなり普及しつつあります、昨年のクリスマス時期には金融危機にもかかわらず爆発的に売れたそうです。こうした電子書籍は、これからの社会変革に大きな役割をになっていくと思います。日本でも、経済対策というと、すぐお金をばら撒くことを考え勝ちですが、たとえば、電子書籍を広めるような施策など結構低い投資でやればできると思います。このような変革など日本でも率先して実施すべきものと思います。ここに書いてしまうと、長くなってしまいますので、詳細は是非私のブログをご覧になってください。

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