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Showing posts from 2008

マイアミのことなど

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Photo: Aneta Glinkowska 12月の第1週目はマイアミのフェアに参加して、1日だけNYに泊まってスーツケースを入れ替えて10日には東京に帰って参りました。その後あっという間に2週間以上が経ちました。本当に早いです。忘れないうちにマイアミのことを少し。 盛り上がりでは間違いなく最高潮だった昨年に比べればかなりおとなしくなったとはいえ、主立ったフェアでも、バーゼル・マイアミ(メインのフェア)、Pulse(中堅)、NADA(若手)、Scope(若手)、Aqua(2カ所)、Bridge(2カ所)、Art Asia(アジア系)、Art Miami(モダン系)、Photo Miami(写真)、Design Miami(デザイン)、Red Dot、Artist Fair、ink Miami(プリント系)、、、と挙げれば20くらいはフェアが行われていたようです。 Photo: Aneta Glinkowska 僕たちは、NY Art Beat / Tokyo Art BeatでScopeのメディアブースを出していたので、1週間いたとはいえ、他のフェアをじっくり見て回るのはなかなか大変だったのですが、オープニングなどを中心に主立ったところは見て回ることができました。ちなみに、 Scopeの様子 と NADAの様子 はNYABlogにフォトレポートが上がっているのでご覧ください。 全体としては、やはりかなり厳しかったようです。フェアが出すラップアップレポートや、メディアのレポート記事などをさらっと見る限りはそれほど悪くなかった、中には至上最大入場者数とか言っているものもあるのですが、まあ、それはなんというかアートシーン的なやせ我慢でしょ。という感じ。もちろん、メインのバーゼルの中のグローバルに巨大なギャラリーなどは売れ行きはそれほど悪くなかったそうですが、それはそもそも去年とかだったら買いたくてもお金あるだけじゃあ買えなかった級の作品が、今年はフェアの2日目に行っても買えるようになったというような感じで、直接の金額には現れていないけれども、ある意味では売り上げ減一歩手前みたいな状況ですよね。メインのバーゼルでも日本を含む海外ギャラリーはかなり苦戦したようですし、NADAやScopeの若手ギャラリーもかなり売り上げは悪かったようです。 去年のマイアミに行っていないので...

101 TOKYOで数ヶ月東京へ

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様々な事情で2009年はスキップしそうだった 101 TOKYO が2009年もしっかり開催することを決めました。会場は秋葉原というのは同じなのですが、JRの駅前のAKIBA_SQUARE(秋葉原UDXの2階)で去年の約2倍の1000平米あります。というわけで、明日から1週間、NYAB / TABのメディアブース参加のためにマイアミに行ったあと、すぐに(12月10日前後から)東京に行って、4月に101 TOKYOが終わるまで住むことになりました。(単身赴任) 東京の皆さんよろしくお願いします。 住むところ(1月中旬から4月中旬)を探しているので、都内でシェアメートを探している方、そういう方を知っているという方、その他耳寄りな情報をお持ちの方是非教えてください。 というわけで、今世界中のギャラリーに連絡して、スケジュールタイトだし、世界中不況だけど来年東京のフェアに来ませんかみたいな厳しい業務を行っております、、、。NYのギャラリーは基本的にはみんな「来年のアーモリー出るのキャンセルしようかどうしようかのときに東京なんて、、、。」みたいなお答え。みんなパニクってますな。ギャラリー街のチェルシーでもリストラの嵐だと噂は聞いていたけど、 フランスアート界底辺日記 のkanaさんによると(いつもすいませんなんかタイムリーなんですよね)ペイスは18人切ったそうですし、まあしょうがないか。それに比べると何となく西海岸のギャラリーのリアクションのほうが良いような。(まあこれは単純なNYと西海岸のヒトの違いだけかも)まあ、でも中には東京行ったことないし、面白そうだし、様子見半分に行ってみたいなあという感じのギャラリーもいるにはいるんで、まあなんとかなるでしょう。感触の良さそうなギャラリーとはマイアミであって詳細話しますみたいな感じになっているので、アートビートのプロモーション半分、101 TOKYOの仕事半分になりそうです。 もう一つの業務はスポンサー探しです。アート支援にご興味のある企業にお勤めの皆様、是非101 TOKYOはいかがでしょうか?東京のアートシーンをガラパゴスにしないためにも、海外のギャラリーに参加してもらうアートフェアーの存在は社会的にも意味があると思います。ご興味ある方は私にメール(kosuke@101tokyo.com)でお知らせください。 101 TOKYO...

NYAB/TABがScope Art Fair Miamiに出展

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11月頭のAsian Contemporary Art Fairに引き続いて、12月の頭には Scope Miami にメディアパートナーとしてブースを構えます。22カ国から88のギャラリーが出展するそうで、日本からもARATANIURANO、Gallery Terra Tokyo、hpgrp Gallery Tokyo、Tokyo Gallery + BTAP、Yuka Sasahara Galleryが参加とにぎやかです。もちろん、同時期にはメインのBasel Miami、若手のNADA、Pulse、Aquaや、その他中小のフェア、地元ギャラリーのオープニング、コレクターの企画展など連日連夜イベントがあり、とても楽しみです。 101 TOKYOを一緒に企画したAgatha Waraが地元マイアミのFredric Snitzer Galleryで企画している企画展の" Death by Basel "にはChimPomや、ヤマタカアイなど日本の作家が多数参加しており、これも楽しみ。 マイアミにいらっしゃる方は是非、ScopeのTAB/NYABブースにもお越し下さいませ。原則的には私がいると思います。 Scope Art Fair Miami スケジュール: 2008年11月07日 ~ 2008年11月10日 住所: 2951 NE 1st Avenue, Miami, FL 33127 電話: +1-212-268-1522

Manhattan Magazineに掲載

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手前味噌ですが、一応。 創刊2号目のまだまだ新しい雑誌のManhattan Magazineに アート界のNext Generationという枠組みでNY Art Beatを掲載していただきました。 下記から雑誌がオンラインで見れるようになっていて、150ページ目に少し載っております。 http://media.modernluxury.com/digital.php?e=MANH まわりは、グッゲンハイムやホイットニーの若いキュレーターや、リンカーンセンターの監督、ローワーイーストサイドのギャラリーオーナーだったりとその中に入れてもらえたのはとても光栄です。 今月頭に出展したAsian Contemporary Art Fairでは、丁度この号の発行日と重なったこともあってか、NY Art Beatどっかで見たことあると思ったら、Manhattan Magazineかみたいなことをおっしゃる方も数人いらっしゃいました。 この雑誌のおかげか、ACAFでのプロモーションのおかげか今月はNYABのトラフィックもぐっと増えました。

マディソンスクエアパークに川俣 正とメディアアート

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フラットアイアンビルの横にあるマディソンスクエアパークでは 川俣正の作品 で、木の上に作られた小屋が沢山”展示”されている。鳥小屋にしては大きいし、人は登れないけれど、木の上の小屋というロマンティックな存在そのものがニューヨークのど真ん中の公園にいくつもできていて、それを何気なく見るのはとても気持ちがいい。そう思っていたところに、楽しく拝読している フランスアート界底辺日記 (一瞬タイプするのが憚られるブログ名称ですが、名称なので、、、。)のkanaさんがちょうど、アートフェアーに出ていた川俣正の作品の写真を掲載してくださっていたので、不思議な気持ちになった(悪い意味では全くない)。ちなみに、パリのチュイルリー公園でも川俣正の小屋が展示されているそう。 東京に比べて、ニューヨークには、コミッションで、期間を区切った大掛かりなパブリックアートもとても多い気がする。オラファー・エリアソンの滝、David Byrneの"Playing the Building"など場所としては一回だけのもの、もしくはロッカフェラーセンターの前や、そしてこのマディソンスクエアパークなど場所は一定だが、期間を区切って野外展示をするものなど、多様だ。ビルを建てる際に一緒につくる巨大彫刻作品としてのパブリックアートも多いのだが、そもそもアートの形態が多様化する上で、長持ちする巨大作品だけをパブリックアートとしていく時代でもないだろう。サイトスペシフィックであるだけでなく、タイムスペシフィックであることもとても重要になってきているような気がする。まあ、サイトスペシフィックといったときに、”サイト”には時間軸の概念も入っているとすることもできるかもしれないが、意識の中にはやはりロケーションの意味が強いだろう。ギャラリーや美術館に護られて外からは見えない通常のアート展示や、できたときには華々しいが、奇怪な形をした置物と化してしまいがちな常設の巨大彫刻作品としてのパブリックアートにはない、アートが社会に何らかの働きかけをするという意味での力は格段に強い。アーティストも受け手が全然違って普通の人々であるということをある程度は意識するであろうし。 こういう活動を起こしていくのに必要なものは、「街はモノではなく、運動体であり変わっていくものである」という公的、パブリックな社会的合意形成と、...

NYの”ストリート”アート

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ここのところ、なぜか、グラフィティをはじめとするストリートアート系のイベントに参加する機会や、見る機会が増えた。金融のクラッシュでかしこまったホワイトキューブからストリートへの揺り戻しが来ているのかというのは少し深読みしすぎかもしれない。ともあれ、アート、ファッション、デザインなどカルチャー系のブログで一番人気なのが、NYのダウンタウン各地に描かれた巨大なネズミの”グラフィティ”だ。これはBanksyのNYでの新しいプロジェクトで、ソーホーのグランドストリート沿いに描かれている。バンクシーがスケッチを描いたのをプロが拡大したそうで、もう、これはグラフィティ(落書き)とは言えないかもしれない。 そしてこれが、たしか数日後に出現した同じソーホーでもハウストンストリート沿いのもの。実はこれらのネズミはどんどん増えているようで、数日前にすでに4つあるとのことだった。 このバンクシーの一連のプロジェクトの核になっているのが、グリニッジビレッジに10月頭にできた、ペットショップ。一見普通の昔からあるペットショップに見えるのだが、近寄ってみると、すべて単純な動きをする造形物で、人間との関わりあいで目にする動物達の形状(チキンナゲット、豹の毛皮、ホットドッグ、檻の中でテレビを見る猿など)が見せられていて、知らずに入って驚くという仕組みになっている。詳しくは flickrの写真、ビデオ でご覧ください。NYにいらっしゃる方は見に行く方がもちろんいいですが。他のいくつかのグラフィティーというか壁画をもう少し見たあとで、もう一度これについては書きたいなあというのが今の気持ちです。初見としては、今までのバンクシーのストレートな切れ味があまりなく、手がこんでいて、もう一つ意図がつかみかねるというのが正直なところ。後述するWooster CollectiveというブログにBanksyからのメッセージが載っているので、どこまで本当かは置いておいて、”作家”の意図としては こういうこと だそうだ。 実は時期は前後するのだが、最初のストリートアート関連イベントは、10月1日に友人に誘ってもらって聞きにいった、DUMBOのGalapagos Art Spaceで行われたトークイベントで、ストリートアートのブログで有名な Wooster Collective を主催する二人(Marc and Sara ...

近況報告

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ここのところいくつかの出来事があったので、近況報告を。 まずは、以前にも紹介したが、東京のアートシーンの近況を英語で伝えるガイドブックで、私もTAB、101TOKYOに関してインタビューをしてもらった "Art Space Tokyo" の米国での 出版パーティー がNYの紀伊国屋で先週火曜日に行われ、私もパネルの一人として参加させていただいた。 友人でこの本の編集者の2人である、Craig ModとAshley Rawlings、Japan Americaという名著の著者で東大でも教鞭をとるRoland Kelts氏、NY在住の戦後日本アートの歴史家であるReiko Tomii氏というすばらしいパネルに入れていただいて、昨今の日本のアートシーンについて1時間パネルディスカッションを行った。私は主に、アートビートでの経験から東京とNYの地理的な違い、つまりNYではアート施設がいくつかのエリアに固まっていて、街もグリッド状であるため、展覧会情報やオープニングの「リスト」が求められるのに対し、東京ではアート施設が比較的ばらばらに広がっていて道もグリッドではないため、個別展覧会場の「地図」が求められているというような話。とアート施設数がTABでは、600、NYABでは1000程度だが、内訳では東京の美術館が120に対し、NYでは50、ギャラリーが東京では400、NYでは800、さらにコマーシャルギャラリーは東京では100弱、NYでは500以上と東京ではアートは見るものであるのに対して、NYでは買うものであるというような話をした。 立ち見の方も多数でて、多くの方に集まっていただき、NYでは初めての人前でのプレゼンテーションがうまくいきとてもありがたかった。ディスカッションの後にも、新たに多くの方にお会いすることができ、いろいろな意味で実りの多いイベントでした。Craig、Ashleyありがとう。 次はACAFについて。これは11月6日から10日まで行われる Asian Contemporary Art Fair の略で今年で2年目になるアジアのコンテンポラリーアートのフェアー。NYのミッドタウンの西側、ハドソンリバー沿いで開かれる。これにNY Art Beat/Tokyo Art Beatもメディアパートナーとしてブースを構えることになった。日本からの参...

ダミアン・ハースト(Damien Hirst)のオークション結果

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前のポストからかなりの期間があいてしまった、、、。通常は自分の経験からのポストしかしないようにしようと思っていたのだが、今回のダミアン・ハーストについては、大きな出来事だし、自分の考えをまとめるためにも、オークションに行ったわけではないが、オンラインのソースを元にしたまとめ記事的なことをやってみようと思う。 9月15日 、 16日 、つまり昨日、今日とロンドンのサザビーズで、ダミアン・ハーストの新作だけの異例のオークション"Beautiful Inside My Head Forever"が開催された。ここ数年で制作された計223点が15日のイブニングセール、16日のデイセールで競売された。新作とはいえ、モチーフは見覚えのあるものが多く、超よくできたエディション作品を新しく制作して彼の回顧展をオークションで行うというような趣。ここまでくるとエディション作品とユニークピースの境界線が全然分からなくなってくる。 村上隆の大掛かりな個展が、LAMOCAからスタートして、ブルックリン美術館を経て、これからヨーロッパではじまるようだが、作品はほとんどが、大コレクターのコレクションで、中には出品されていた作品(と思われる)「マイロンサムカウボーイ」が今年の5月にNYサザビーズで16億円で落札されていた。個展としてしっかりパッケージされていて作品もあるのに、作品価値が高く、保険代、輸送費、インスタレーションコストなどが高騰しすぎて日本の美術館には巡回できないそうだという話を聞いたことがある。今、誰かがダミアンハーストの大がかりな個展を美術館で開こうと思ったら、コレクターが作品を喜んで出してくれても、多額の費用がかかって実現するのは困難かもしれない。作品を見るステージ作りと作品を売るステージ作りの金銭勘定の大きな違いが、ビエンナーレなどの国際展よりもアートフェアーのほうが盛り上がってしまう場合があるという構造を作り上げ始めて、さらにそこをショートカットした形で、今回の個展形式、新作オークションという前代未聞のやり方が成り立っているのだろう。 さらに、ダミアン個人のアート活動として、去年のダイアモンドのスカル作品くらいから、直接的に、お金、マーケットという構造へのチャレンジというような活動を行ってきており、その延長線上ととらえることもできる。ここ2年程度で作った2...

SCOPE Art Fair Hamptons に行ってきた

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SCOPEアートフェアーは、3月のNYのArmory Showや、6月のバーゼルのアートフェアーなどと合わせてサテライトアートフェア的に開催されており、毎年6都市を廻っている。1年のうちの開催回数という意味では一番多いアートフェアーかもしれない。今回は先週末(7月24日ー27日)にニューヨーク郊外の夏の保養地である East Hamptonで開催されたSCOPE のメディア向けツアーに参加した。これは他の都市のSCOPEアートフェアーと違って、別の大きなアートフェアのサテライトではなく、SCOPE単体での開催。 Hamptonsは、マンハッタンの東側に位置するロング・アイランドという文字通り細長い割と大きな島(150キロくらい)のほぼ東端に近いところにあるエリアで、ビーチがずっと続き、ニューヨークのお金持ちのサマーハウスが立ち並んでいるエリア。マンハッタンから車、バス、電車で2時間程度のところにある。このエリアにスペースを持っているギャラリーもあり、夏の間はマンハッタンのギャラリーは閉めて、ハンプトンのギャラリーをあけるというかたち。アメリカ人はヨーロッパ人と違って、リタイアしていない限り、夏休みは1ヶ月以上というような人はそれほどいないだろうから、平日は市内で普通に仕事して、週末は毎週サマーハウスで過ごすというような感じの人も多いらしい。 12月にアートフェアーが行われるマイアミは避寒地で、やはりセカンドハウスが立ち並ぶところだし、お金持ちの移動にあわせてギャラリー移動まではできないのでアートフェアーを開催という形になっている。 僕たちはハンプトンに行ったことがなかったし、今年は夏休みを取る予定もなかったので、丁度良い機会とばかりに、アートフェアーに行った後、2、3日その辺でゆっくりしようと思っていたのだが、それが大きな間違い。前日に近くのホテルやB&Bに電話しまくるも、どこも一杯か、空いていても一泊$300とか。別にアートフェアがあるからというわけではなく、夏のピークシーズンの週末だから当然だとのこと。すると丁度プレビューの日にSCOPEの主催で市内のアートメディア向けの1日日帰りツアーをするという知らせを受けて、渡りに船とばかりに参加することにした。旅費も食事代もアートフェア持ちという僕らのような貧乏アートメディアにはありがたい企画。今年101 TOK...

どうして「アートなんて解んない」のか?

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若い世代が中心になって、音楽、映画、アート、デザインなど幅広いカルチャーを紹介し、そのシーンを盛り上げようと精力的に活動しているフリーCD/オンラインマガジンの CINRA Magazine が今号は 「アートなんて解んない」 という”つり”タイトルで、アートについて地に足のついた、幅広いアプローチで、アートを特集してくれている。編集長の 杉浦さん から教えていただき、早速オンラインで読ませていただいた。 すばらしい森村泰昌さんのインタビューや、若い作家へのインタビュー、川村記念美術館のガイドツアーのレポートなど、多くの視点で、今号のタイトルへの答えを考えるきっかけを与えてくれる。音楽は毎日聞いているが、美術館にはほどんど行かない、ギャラリーなんて行ったことないといった若い人たちを読者として想定しているのだと思うが、同じ目線で丁寧に編集されている。アートに対するスタンスがちょっと穿っていすぎかなと思う言葉遣いもあるが、まあそれも含めてつりということだろう。 僕自身も、アートの専門的学術的バックグラウンドがあるわけではない鑑賞者の目線で、Tokyo Art Beat、NY Art Beat、アートフェアの101 TOKYOの運営などに携わってくる中で、同様の問いはいつも頭の中にあった。アートがもう少し日本の社会の中で市民権をえるためには、何が障害になっているのか?敷居の高さを多くの人々が感じているのは事実だろうし、その理由であろう予備知識(ここで蘊蓄という言葉はあえて使いたくない)的なものは本当に必要なのか?など、自分自身も(鑑賞者からいつの間にかアート業界者になりつつある自分)釈然としていないことを改めて考える良いきっかけをいただいたので、簡単に自分なりの答えを どうして「アートなんて解んない」のか? 1, アート・美術作品を理解するのは、人間一人理解するのと同じでそもそもそんな簡単なものじゃない 上記アーティストの森村泰昌さんのインタビュー内での答えは、とても真摯で、大前提として僕もその通りだと思った。詳しくはインタビューを読んでいただきたい。でも、やはりそこに行く一歩手前のところで、引っかかっていたのが次。 2, やっぱり教育が悪いのではないか。 ここで思ったのは、いわゆる義務教育でのアート教育ではなく、主に大学など高等教育でのアート関連が専門ではない人に向けた...

DUMBOのアーティストスタジオを訪ねた

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DUMBOというのは、Down Under the Manhattan Bridge Overpassの略で、ブルックリンブリッジとマンハッタンブリッジの下のブルックリン側のエリアのこと。アーティストのスタジオが多く、ギャラリーなども結構ある地域。上の写真で見えるのはマンハッタンブリッジ。友人のアーティストが作品が届いたからお昼でも食べようと招待してくれた。もう5度目くらいだろうか。ちなみに、篠原有司男氏のスタジオもこのエリアだと聞いた。 DUMBOの中でも、アーティストスタジオ、ギャラリーが特に集まっているFront St.沿いの灰色の巨大なビルの3階に彼のアトリエはあり、廊下は誰かの作品かな。赤いパネルがならんでいる。 これが彼のスタジオ。日頃はここで仕事をしているそうで、到着したばかりの作品も並べてある。 彼が、友人のチェコ人アーティスト Pavel Kraus 。友人と行ってもかなりキャリアのある人で、大掛かりなパブリックアートプロジェクトを手掛けたりもしている。 これが、新しく届いた彼の作品達。玉子と遺伝子がコンセプトになっている石の彫刻作品。届いたというのも、この作品はインドで制作されているという。彼がコンセプトとスケッチをおこし、それをもとに、インドの人件費の安い職人達が、石を削って、磨いて、玉子型を作りそれを2つに切って、また表面に形状通りの型を切り出して、そこに別の質感の石をぴったりはめ込んで、上から磨くという作業を何人かで半年かけて完成したという。それが巨大な木のクレート何箱かに入って船で届いたという訳だ。作品制作途中にも何回か遊びに来たが、インドからの返信が遅いとか、どの港に届けるのが一番いいかとか、心配事はつきないようだったが、できた作品はすばらしく美しく、多様な意味でグローバルで現代的なものだ。本人も満足げで、現在は、この写真の作品の2倍以上の大きさの作品を制作しているそうで、その大きさになると1トン近くにもなり、一度置いたら、なかなか動かすのは容易ではない。 食事をいただきながら(木曜昼なのに3人でワイン2本、、、)、この作品で展覧会をするのかと聞いたら、「この作品でギャラリーの展覧会をやるのはリスクが大きすぎる」というような答えが返って来た。つまり、作品の制作費用が高く、どのくらい売れて資金回収できるかわからない展覧会に新作としてこれら...

David ByrneとIKEA

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マンハッタンの南端のフェリーポートなどが集まるエリアにあるBattery Maritime Buildingという市が管轄する廃屋を利用して行われているサウンドアート展"Playing the Building"に行ってきた。ミュージシャンの David Byrne の作品で、一見、大きなスペースにオルガンが一つおいてあるというシンプルだが、ドラマティックなビジュアルで、興味を引かれていた。 "Playing the Building" Exhibition Venue: Battery Maritime Building Schedule: From 2008-05-31 To 2008-08-10 Address: 10 S St., New York, NY 10004 会場に入る前に、全員がこの覚え書きのようなものにサインしなければならない、みんなあまり内容なんか読んでいないようだったが、興味がわいたので写真に撮ってきた。要は入場者は入場者の興味でもって、市の建物で行われている展覧会に入場したいので、その入場をリクエストする。もちろん会場での紛失、怪我などのリスクは入場者が認識しているというようなもの。なるほどなと関心した。アートフェアーなど大きめのアートイベントでは、入場者の万が一の事態に備えて、たいていは保険に入ることになる。そのコストはそれほど大きくはないが、馬鹿にならない金額だ。今年の4月に101 TOKYOを千代田区の廃校で行った際にも、最低限の保険に加入した。そのコストを押さえるとすれば、今回のようなやり方もあるだろう。廃屋を使うとすればなおさらかもしれない。 直接のアート作品であるオルガン。これを誰でもが演奏できる。 ただし、土曜日に行ったこともあり、長蛇の列。 鍵盤一つ一つが、会場内に広く配置された音を奏でる装置に、電気や、空圧でつながっており、人々が演奏するたびに、打楽器的な音、笛のような音が会場のあちこちから聞こえてきて、いうなれば、演奏者、鑑賞者ともに楽器の中にいるようなイメージ。タイトルの"Playing the Building"はまさにそのとおり。 古い雰囲気のある会場とよくマッチしたとても贅沢でいいインスタレーション。僕はこの作品を楽しみながらも、2009年の101 T...

木曜日はオープニングの日!

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ギャラリーの数が多いニューヨークでは毎日のように展覧会のオープニングが開かれているのだが、とりわけ木曜日にはオープニングが集中する。特に毎月第一木曜日。今月は先週が独立記念日の連休だったので、1週ずれて、昨日がオープニング集中日だった。300以上のギャラリーがひしめくチェルシーでは、6時くらいから多くの人がつめかけ、ギャラリーをはしごする。多分、ニューヨーク中で50くらいはオープニングパーティーが行われていたんじゃないかと思う。僕たちは昨日の6時から8時の間に10近いオープニングをまわった。 最初に訪れたのは、友人のKoizumi Miwaさんがアイスクリームを振る舞うパフォーマンスでグループ展に参加していたGeorge Adamsギャラリー。ニューヨークの様々な地区にちなんだ変則アイスクリームを振る舞うもので、今回は32丁目のコリアンタウンということでキムチアイスクリーム。アイスというよりは、サラダみたいな感じで、他のギャラリーでもらったビールととても相性がよかった。 "COOL" Summer Invitational Exhibition Venue: George Adams Gallery Schedule: From 2008-07-10 To 2008-08-15 Opening Reception: July 10, 6–8 pm. Address: 525 W 26th St., 1 Fl., New York, NY 10011 Phone: 212-564-8480 Fax: 212-564-8485 次は、NYABのフライヤーもおいてくれている老舗画廊のJack Shaiman Gallery。こちらも夏のグループ展。多くのギャラリーでこれが夏休み前の最後の展覧会になる。個展をするところはあまりなく、多くは若手作家が各1点から数点展示するグループ展。それぞれの作家はそれほど有名ではないが、多くの作家が参加するので、その知り合いなどが見に来ることもあり、ギャラリー内も混雑。ギャラリーの前まで人があふれてくる。 "Un Balance" Exhibition Venue: Jack Shainman Gallery Schedule: From 2008-07-10 To 2008-08-08 Addres...