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Showing posts from 2010

TABとNYABのAndroidアプリケーションがリリース

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TABとNYABのiPhoneアプリを2月にリリース して以来、約半年が経ち、おかげ様で、あわせて約3万人の方にダウンロードして使っていただいている。iPhoneを持っている人で、有料アプリを買うほどアートに興味がある人がそんなにいるとは正直考えもつかなかった。発売前の感覚では、1000と10000の間くらいかなというとてもざっくりとした感覚をもっていた。意外なことに、アート関係者ではなく、自分の同世代のサラリーマンの友達などが結構使ってくれているというのを聞いて本当にうれしい気持ちになる。半年経った今でも、毎日数十から百程度の人がダウンロードしてくれている。 さて、このたび、7月末にTABのそして8月中旬の昨日NYABのアンドロイドアプリを新たにリリースすることができた。機能やデザインはiPhoneアプリとほぼ同じ。たまにアンドロイドアプリって何という質問を受けるのだが、アンドロイドというのはGoogleが提供している携帯電話用のOSで、そのOSを使って世界中の携帯メーカーがスマートフォンを作っている。そのOS上で走るアプリをアンドロイドアプリという。日本ではまだ知名度が低く日本で流通している端末もSony EricssonのXperiaと台湾のHTCの数機種のみだが、近いうちに多くのメーカーから発売されていくはず。アメリカでは、AT&TがiPhoneを独占販売していることもあり、他のオペレーターは対抗馬としてアンドロイド携帯を猛プッシュしていることもあり、HTC、モトローラ、サムソン、Sony Ericsson、LGなどから多様なアンドロイドフォンが発売されている。iPhoneアプリと違って、リンクを貼るランディングページがないので、アンドロイド携帯をお持ちの方は、アンドロイドマーケットにて、"Tokyo Art Beat" もしくは "NY Art Beat"を検索して見つけてください。 TAB/NYABのiPhoneアプリが米国西海岸のデベロッパーによって開発されたのと違い、アンドロイドは日本のデベロッパーによって開発された。きっかけは3月に日本に出張した際に、僕が以前働いていたSony Ericssonの同期たちといつものように飲もうと集まったのだが、面白い後輩がいるからといって紹介してもらったのが、水鳥君だ

キース・ヘリング、アートに関する文章の翻訳について

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私の日々のメイン業務は NY Art Beat の運営なのだが、フリーランスでアートやデザインに関する文章の英語訳、もしくは英語の日本語訳の仕事を頂く機会が結構増えてきた。知り合いのアーティストのポートフォリオ用のステートメント英訳から、全く知らない方からの記事の翻訳、企業や公共機関の仕事まである。 そんな中でも、最近一番大変で、そして一番刺激的で楽しかった日本語訳の仕事を紹介したい。 ナタリー福田さんという方の、ロンドンの大学院での芸術史過程の修士論文で、キース・ヘリングに関するものなのだが、驚くことに、全文が引用だけで構成されていて、固い芸術史の修士論文の形式としては信じられないような、いわば詩的でとてもアーティスティックなテキストなのだ。文学において、50年代にブライオン・ガイシンによって広められ、『裸のランチ』で知られる ウィリアム・バロウズ などが多用していた カットアップ という手法がキース・ヘリングに大きな影響を与えていたことを背景に、キース自身の言葉、キースのスタジオディレクターの回想、バロウズのテキスト、マティス、デュビュッフェの言葉、キースの作品に影響を与えた書道が結び目となって書道家の寺山 旦中、『表徴の帝国』のロラン・バルトのテキストなどがパラグラフ毎にそれこそカットアップで縦横無尽に再接続されて全体としてキース・ヘリングの世界を再構築しようとしている意欲的なもの。これを論文にしようと思い立った彼女もすごければ、これを通した教授陣もすごいなあと関心した。 様々な時代の様々な国の人の口語体、文語体が入り交じって、前後の文脈から切り離されたパラグラフ群を一つ一つ翻訳していくのは、本当に骨が折れる作業であったし、前後の文脈から切り離されていることで、本来的には誤訳になってしまうような部分もあるいは残ってしまったかもしれないが、全体としては一文一文がエキサイティングで、発見ばかり(そもそもキース・ヘリングとウィリアム・バロウズとアンディ・ウォーホルが実際につるんでいたなんて全然しらなかった。)の楽しい仕事であった。 また、偶然かもしれないが、パフォーマンスアートへの機運が高まっているニューヨークで、最近2つもキース・ヘリングの個展(ダイチプロジェクトと トニー・シャフラジギャラリー )があったり、バロウズの裸のランチを1章ごとに独白していくパフォーマ

アートとお酒

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またもや1ヶ月ほどあいてしまった、、、。 今日朝起きてNY Art BeatのトラフィックをチェックしているとなんとNY Timesから結構なトラフィックが来ていることに気がついた。もしやiPhoneアプリをレビューしてくれた???と思って当該ページを見つけるとなんとアートの記事ではなく、 "I’ll Take a Manhattan (or Any Other Drink, if It’s Free)" というマンハッタンでタダでお酒を飲むためのテクニック集といった趣の記事の中の多くのアイデアの一つとして、アートギャラリーのオープニングに行って飲もうというときにオープニングを探すのに便利なサイトとして NYAB を紹介してくれていたのだ。もう、これだからNYはいいなあと思える瞬間だ。もちろんNY TimesのアートコーナーでNYABを紹介してほしいけれど、最初に紹介してくれたのが低予算で生活を楽しむためのコーナーなのだ。扱いは小さいけれどそれなりのトラフィックが来る。さすがNY Times。もしかしたらおかたいアート欄よりトラフィックは多いだろうから直接的なリンクとしてはこっちのほうがよかったのかも。 アートギャラリーはオープニングと言って展示の初日に出展アーティストもその場にいて、ワインやビールなどを来場者に振舞うことが多い。これはNYも東京も同様だが、NYのほうがギャラリー数も多ければ歴史も長いのでその認知度はずっと高いかもしれない。それでも、カジュアルにアートが好きなNYの人だってオープニングで出ているお酒が無料なのかどうかで戸惑っている人だって見かける。それをわかっていたって特に日本人にとっては、作品を買うつもりでもないのにオープニングに行ってお酒を飲むなんて敷居が高くてと感じる人が多いかもしれない。でも、これは、アーティストへのお祝いや、顧客へのお礼なんていうのが重要な意味ではなく(まあ、そういう側面もあるだろうが)これによって長期的にはアートファンを作り出す大きな原動力になっていると常々思う。 アートを楽しむ上で(買う買わないは別として)、ギャラリーでお酒を飲むこと(ギャラリーからすれば出すこと)に2つ意味があると思う。一つはもちろん精神的なリラックス。日本にも飲みニケーションなんて言葉があるくらいだから、お酒を飲んで少し自分の精神

TABとNYABのiPhone Applicationsがついにリリース

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遅れに遅れていたiPhoneアプリをとうとうリリースすることができた。NY時間で2月12日(金)の夜にAppleから承認メールが来たときには久しぶりに大興奮してしまった。2009年のはじめに、西海岸のUIデザイナーの Suzanne Ginsburg とiPhoneアプリのコーディングをやている Chuck Soper からNYABとTABのアートイベント情報のAPIを使ってiPhoneアプリを作りたいんだけどというオファーがきたことがきっかけだった。彼らは自分達でつくるからデータ使用に関してなんらかの同意をというスタンスだったが、自分たちでもいつかはiPhoneアプリをと思っていた僕たちは、なら共同でつくろうという話にして、初期デザイン、コーディング、調整、コーディングというプロセスをすすめていった。2−3ヶ月で2009年夏前にはバージョン1をリリースする予定だったのが、いつも通り遅れ、じゃあ、9月のオープニング時期に、それもかなわず、11月のTABパーティーに、それもかなわず、年内に、それもかなわず、ついにほぼ1年もかかったがやっとリリースすることができた。難産だっただけに感動も一潮というところだ。TABアプリの詳細は このページ から、 NYABアプリ はこちらから。 どちらもUIは日・英バイリンガルで、iPhoneのOS言語設定を変更することで、アプリの言語設定も変わるようになっている。NYABのイベント情報など、中身は英語のみ。アプリで何ができるかについては下記だが、これは実際に使っていただくのが一番早い。 -東京(NY)で開催中の500 (600)イベントを、人気度やメディア、エリア、開催日時で並び替え -「周辺検索」~ 最寄のイベントを歩いていける距離から地図で表示 -「人気のイベント」~ 今話題の展示を確認 -地図、方角、開館時間を見ながら目的地に迷わず到着 追加予定機能:ブックマーク機能、検索機能、他のサービスとの連携 iPhoneのGPSを使って、自分の居場所の周辺の展覧会情報をリストアップしてくれて、地図上に10ほどのピンを出してくれるなど、モバイルならでは、またiPhoneならではのビジュアルインタフェースでさくさく使える。今後も少しづつ改良を加えていく予定。アートビートはアート・デザインのイベント情報を提供していくことで、こんなにたくさんの

Tokyo Art BeatのDonationキャンペーンについて

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このブログを読んでいただいている方はご存知の方も多いかもしれないが、先週、Tokyo Art Beatを運営するNPO法人GADAGOへの寄付募集のキャンペーンをはじめさせていただいた。詳細は 寄付ページ より。是非よろしくお願いします。TABを初期から支えてくれている橋本さんも勇気を振り絞って Art itで紹介して くれています。 現在、開始から1週間たらずのうちに、世界中の50人以上の方から総額13万円以上の寄付をいただいている。1ヶ月のキャンペーン期間のうちにどれだけご支持いただけるかはわからないが、目標は大きく150万円としている。私は、現在、NY Art Beatの運営をしていることもあり、TABの日々の業務には直接的にはタッチできていないが、NPO法人GADAGOの3人の理事のうちの一人に名を連ねているし、またもちろんTABは自分の子供のような存在でもあるので、できるだけ状況は把握して、手助けができるところはするようにしている。 今のところTwitter経由の告知からしていただいている寄付が大半だ。直接的にTABのtwitterのつぶやきから知っていただいた方、TABをサポートしてくださる有力Twittererの方のRTから来てくださるかたなど。また、Twitter経由で、寄付だけでなく、 情報公開が足りないなどの重要なアドバイス もいくつかいただき、まだまだ全然足りないが、急遽 NPO法人GADAGOについての記述 を追加したりしている。 NPO法人GADAGOは大きく2つのことを行っていて、1つがTABの運営、そして年6回の アートマップの発行 で、ざっくりどちらも年間1000万円程度の予算で行っている。支出の内訳としては、サイトのほうが人件費(広報、営業、編集、翻訳)が大半、あとは事務所家賃、そしてサーバー代その他というところ、マップは紙、印刷代が大半、運送費、人件費(デザイン、営業、編集、翻訳)というところで、サイトの中のTABlogの執筆、編集、そしてサイト全体のデザイン、プログラミング、その他多くの部分を無償のボランティアに頼っている。逆にその予算の収入を見てみると、サイトのほうはバナー広告が大半、そしてTシャツを中心とした物販、若干の寄付、マップのほうは、マップ上の広告、記事タイアップが大半、石橋財団からの助成金(3−4割)という内訳にな

あけましておめでとうとTokyo Art School告知

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少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。 ブログは3ヶ月も停滞してしまった、、、。 お正月はできるだけ家族が住む関西で過ごそうとしていて、今年も京都の祖母の家で過ごした。 ただ、12月31日にNYを発って、1月1日に日本に着く飛行機で帰ったのだが、これをやると年越しの瞬間というのが無くなってしまうことに飛行機の中で気がついた。大晦日のお昼くらいにNYを出るときに、日本はだいたい年越しを迎えており、そのまま、飛行機はだいたい時差と同じくらいの速度(つまり地球の自転の速度)で飛行機が移動するので、飛行機がいる場所の時間(アラスカを通るときにはアラスカの時間)はほとんど一定なので、ずっと大晦日の午後なのだが、日付変更線をまたいだ瞬間に1月1日の午後になってしまうのだ。まあ、よく考えれば当然で、今までにNYと東京を何往復もしていて、その間に同じことはいつも起こっているに、年越しという特別な瞬間にそれをやると突然不思議な気分になる。ということで、今年は心情的には年越しはありませんでした。 よく聞かれたのが、年越しのフライトなのだから、シャンパンのサービスくらいあるの?という質問だが、僕たちはANAで飛んだが、何も特別なことは無かった。まあ、それとは無関係にエコノミークラスの座席をプレミアムエコノミーという食事は一緒だけれど座席が一回り大きいものにアップグレードしてくれたので、割と幸せな気分で帰国することができた。 関西では祖母の家で、基本的には何もしないで、美味しいおせち料理を食べて、お酒を飲んでいただけ。 ワイン好きの叔母が、すばらしいワインのセレクションをご馳走してくれて、最高だったのは、なんと、毎年ラベルにファインアーティストを起用しているムートン・ロートシルトの2003、この年は、ロートシルト(ロスチャイルド)家がワイナリーを買って150周年ということで、記念ラベルでアーティストのものではなかったが、味は、ワインは好きでよく飲むけれど高いワインはほとんど知らない僕にも 飛び抜けて美味しかった。 東京に移動してからは、夫婦二人で10日ほども2人の友人の家にお世話になってしまった。東京では、2日間は、人から頼まれて取り組んでいるキース・へリングに関するとても興味深くて意欲的な手法で書かれた英文エッセイ(約40ページ)の翻訳の仕事をみっちりやった以外は、美術館