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Showing posts from July, 2008

SCOPE Art Fair Hamptons に行ってきた

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SCOPEアートフェアーは、3月のNYのArmory Showや、6月のバーゼルのアートフェアーなどと合わせてサテライトアートフェア的に開催されており、毎年6都市を廻っている。1年のうちの開催回数という意味では一番多いアートフェアーかもしれない。今回は先週末(7月24日ー27日)にニューヨーク郊外の夏の保養地である East Hamptonで開催されたSCOPE のメディア向けツアーに参加した。これは他の都市のSCOPEアートフェアーと違って、別の大きなアートフェアのサテライトではなく、SCOPE単体での開催。 Hamptonsは、マンハッタンの東側に位置するロング・アイランドという文字通り細長い割と大きな島(150キロくらい)のほぼ東端に近いところにあるエリアで、ビーチがずっと続き、ニューヨークのお金持ちのサマーハウスが立ち並んでいるエリア。マンハッタンから車、バス、電車で2時間程度のところにある。このエリアにスペースを持っているギャラリーもあり、夏の間はマンハッタンのギャラリーは閉めて、ハンプトンのギャラリーをあけるというかたち。アメリカ人はヨーロッパ人と違って、リタイアしていない限り、夏休みは1ヶ月以上というような人はそれほどいないだろうから、平日は市内で普通に仕事して、週末は毎週サマーハウスで過ごすというような感じの人も多いらしい。 12月にアートフェアーが行われるマイアミは避寒地で、やはりセカンドハウスが立ち並ぶところだし、お金持ちの移動にあわせてギャラリー移動まではできないのでアートフェアーを開催という形になっている。 僕たちはハンプトンに行ったことがなかったし、今年は夏休みを取る予定もなかったので、丁度良い機会とばかりに、アートフェアーに行った後、2、3日その辺でゆっくりしようと思っていたのだが、それが大きな間違い。前日に近くのホテルやB&Bに電話しまくるも、どこも一杯か、空いていても一泊$300とか。別にアートフェアがあるからというわけではなく、夏のピークシーズンの週末だから当然だとのこと。すると丁度プレビューの日にSCOPEの主催で市内のアートメディア向けの1日日帰りツアーをするという知らせを受けて、渡りに船とばかりに参加することにした。旅費も食事代もアートフェア持ちという僕らのような貧乏アートメディアにはありがたい企画。今年101 TOK

どうして「アートなんて解んない」のか?

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若い世代が中心になって、音楽、映画、アート、デザインなど幅広いカルチャーを紹介し、そのシーンを盛り上げようと精力的に活動しているフリーCD/オンラインマガジンの CINRA Magazine が今号は 「アートなんて解んない」 という”つり”タイトルで、アートについて地に足のついた、幅広いアプローチで、アートを特集してくれている。編集長の 杉浦さん から教えていただき、早速オンラインで読ませていただいた。 すばらしい森村泰昌さんのインタビューや、若い作家へのインタビュー、川村記念美術館のガイドツアーのレポートなど、多くの視点で、今号のタイトルへの答えを考えるきっかけを与えてくれる。音楽は毎日聞いているが、美術館にはほどんど行かない、ギャラリーなんて行ったことないといった若い人たちを読者として想定しているのだと思うが、同じ目線で丁寧に編集されている。アートに対するスタンスがちょっと穿っていすぎかなと思う言葉遣いもあるが、まあそれも含めてつりということだろう。 僕自身も、アートの専門的学術的バックグラウンドがあるわけではない鑑賞者の目線で、Tokyo Art Beat、NY Art Beat、アートフェアの101 TOKYOの運営などに携わってくる中で、同様の問いはいつも頭の中にあった。アートがもう少し日本の社会の中で市民権をえるためには、何が障害になっているのか?敷居の高さを多くの人々が感じているのは事実だろうし、その理由であろう予備知識(ここで蘊蓄という言葉はあえて使いたくない)的なものは本当に必要なのか?など、自分自身も(鑑賞者からいつの間にかアート業界者になりつつある自分)釈然としていないことを改めて考える良いきっかけをいただいたので、簡単に自分なりの答えを どうして「アートなんて解んない」のか? 1, アート・美術作品を理解するのは、人間一人理解するのと同じでそもそもそんな簡単なものじゃない 上記アーティストの森村泰昌さんのインタビュー内での答えは、とても真摯で、大前提として僕もその通りだと思った。詳しくはインタビューを読んでいただきたい。でも、やはりそこに行く一歩手前のところで、引っかかっていたのが次。 2, やっぱり教育が悪いのではないか。 ここで思ったのは、いわゆる義務教育でのアート教育ではなく、主に大学など高等教育でのアート関連が専門ではない人に向けた

DUMBOのアーティストスタジオを訪ねた

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DUMBOというのは、Down Under the Manhattan Bridge Overpassの略で、ブルックリンブリッジとマンハッタンブリッジの下のブルックリン側のエリアのこと。アーティストのスタジオが多く、ギャラリーなども結構ある地域。上の写真で見えるのはマンハッタンブリッジ。友人のアーティストが作品が届いたからお昼でも食べようと招待してくれた。もう5度目くらいだろうか。ちなみに、篠原有司男氏のスタジオもこのエリアだと聞いた。 DUMBOの中でも、アーティストスタジオ、ギャラリーが特に集まっているFront St.沿いの灰色の巨大なビルの3階に彼のアトリエはあり、廊下は誰かの作品かな。赤いパネルがならんでいる。 これが彼のスタジオ。日頃はここで仕事をしているそうで、到着したばかりの作品も並べてある。 彼が、友人のチェコ人アーティスト Pavel Kraus 。友人と行ってもかなりキャリアのある人で、大掛かりなパブリックアートプロジェクトを手掛けたりもしている。 これが、新しく届いた彼の作品達。玉子と遺伝子がコンセプトになっている石の彫刻作品。届いたというのも、この作品はインドで制作されているという。彼がコンセプトとスケッチをおこし、それをもとに、インドの人件費の安い職人達が、石を削って、磨いて、玉子型を作りそれを2つに切って、また表面に形状通りの型を切り出して、そこに別の質感の石をぴったりはめ込んで、上から磨くという作業を何人かで半年かけて完成したという。それが巨大な木のクレート何箱かに入って船で届いたという訳だ。作品制作途中にも何回か遊びに来たが、インドからの返信が遅いとか、どの港に届けるのが一番いいかとか、心配事はつきないようだったが、できた作品はすばらしく美しく、多様な意味でグローバルで現代的なものだ。本人も満足げで、現在は、この写真の作品の2倍以上の大きさの作品を制作しているそうで、その大きさになると1トン近くにもなり、一度置いたら、なかなか動かすのは容易ではない。 食事をいただきながら(木曜昼なのに3人でワイン2本、、、)、この作品で展覧会をするのかと聞いたら、「この作品でギャラリーの展覧会をやるのはリスクが大きすぎる」というような答えが返って来た。つまり、作品の制作費用が高く、どのくらい売れて資金回収できるかわからない展覧会に新作としてこれら

David ByrneとIKEA

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マンハッタンの南端のフェリーポートなどが集まるエリアにあるBattery Maritime Buildingという市が管轄する廃屋を利用して行われているサウンドアート展"Playing the Building"に行ってきた。ミュージシャンの David Byrne の作品で、一見、大きなスペースにオルガンが一つおいてあるというシンプルだが、ドラマティックなビジュアルで、興味を引かれていた。 "Playing the Building" Exhibition Venue: Battery Maritime Building Schedule: From 2008-05-31 To 2008-08-10 Address: 10 S St., New York, NY 10004 会場に入る前に、全員がこの覚え書きのようなものにサインしなければならない、みんなあまり内容なんか読んでいないようだったが、興味がわいたので写真に撮ってきた。要は入場者は入場者の興味でもって、市の建物で行われている展覧会に入場したいので、その入場をリクエストする。もちろん会場での紛失、怪我などのリスクは入場者が認識しているというようなもの。なるほどなと関心した。アートフェアーなど大きめのアートイベントでは、入場者の万が一の事態に備えて、たいていは保険に入ることになる。そのコストはそれほど大きくはないが、馬鹿にならない金額だ。今年の4月に101 TOKYOを千代田区の廃校で行った際にも、最低限の保険に加入した。そのコストを押さえるとすれば、今回のようなやり方もあるだろう。廃屋を使うとすればなおさらかもしれない。 直接のアート作品であるオルガン。これを誰でもが演奏できる。 ただし、土曜日に行ったこともあり、長蛇の列。 鍵盤一つ一つが、会場内に広く配置された音を奏でる装置に、電気や、空圧でつながっており、人々が演奏するたびに、打楽器的な音、笛のような音が会場のあちこちから聞こえてきて、いうなれば、演奏者、鑑賞者ともに楽器の中にいるようなイメージ。タイトルの"Playing the Building"はまさにそのとおり。 古い雰囲気のある会場とよくマッチしたとても贅沢でいいインスタレーション。僕はこの作品を楽しみながらも、2009年の101 T

木曜日はオープニングの日!

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ギャラリーの数が多いニューヨークでは毎日のように展覧会のオープニングが開かれているのだが、とりわけ木曜日にはオープニングが集中する。特に毎月第一木曜日。今月は先週が独立記念日の連休だったので、1週ずれて、昨日がオープニング集中日だった。300以上のギャラリーがひしめくチェルシーでは、6時くらいから多くの人がつめかけ、ギャラリーをはしごする。多分、ニューヨーク中で50くらいはオープニングパーティーが行われていたんじゃないかと思う。僕たちは昨日の6時から8時の間に10近いオープニングをまわった。 最初に訪れたのは、友人のKoizumi Miwaさんがアイスクリームを振る舞うパフォーマンスでグループ展に参加していたGeorge Adamsギャラリー。ニューヨークの様々な地区にちなんだ変則アイスクリームを振る舞うもので、今回は32丁目のコリアンタウンということでキムチアイスクリーム。アイスというよりは、サラダみたいな感じで、他のギャラリーでもらったビールととても相性がよかった。 "COOL" Summer Invitational Exhibition Venue: George Adams Gallery Schedule: From 2008-07-10 To 2008-08-15 Opening Reception: July 10, 6–8 pm. Address: 525 W 26th St., 1 Fl., New York, NY 10011 Phone: 212-564-8480 Fax: 212-564-8485 次は、NYABのフライヤーもおいてくれている老舗画廊のJack Shaiman Gallery。こちらも夏のグループ展。多くのギャラリーでこれが夏休み前の最後の展覧会になる。個展をするところはあまりなく、多くは若手作家が各1点から数点展示するグループ展。それぞれの作家はそれほど有名ではないが、多くの作家が参加するので、その知り合いなどが見に来ることもあり、ギャラリー内も混雑。ギャラリーの前まで人があふれてくる。 "Un Balance" Exhibition Venue: Jack Shainman Gallery Schedule: From 2008-07-10 To 2008-08-08 Addres

DIY Music Tech in Brooklyn 7/8 に行ってきた

NYUのITP(Interactive Telecommunications Program)の学生の友達、といっても僕より年上だが、が突然誘ってくれたので DIY Music Tech in Brooklyn 7/8 に行ってきました。 オリジナルな意味での秋葉原好きのギークの人たちがハードウェアの技術を駆使して、自分の手で音楽デバイス(楽器というよりは、入出力デバイス+アルゴリズムみたいなマシン)を作って披露するイベント。手作り感や、場の雰囲気は、なんというか全力でクリエイティブな感じがあってとても楽しいイベントなのだが、文系で音楽の素養のない自分には、各人が込み入った中身の説明をし始めると半分以上理解不能になる。雰囲気をつかむのは、上記リンクのイベントのページにはっつけてあるビデオを見てもらうのが一番手っとり早い。ちなみに、ビデオ内でTABTシャツ(微妙にわかる)を偶然着て話している人が友達。 行ったあとで分かったのだが、このイベントはテクノロジーとアートを駆使して、何でも自分で作ってみようという解説雑誌であるMake Magazineも参加していて、 編集者のPhillips Torrone と少し話しているうちに、去年横浜でドークボット・スイスの人たちを迎える イベント みたいなのに行った記憶がよみがえってきて、実はそこに、彼も、僕たちもいたことがわかり妙な親近感を覚えた。 ちなみに、そのときに買って帰った初めてのMake Magazine 日本語版がこれ。 凧に使い捨てカメラをくっつけて、空中撮影する構造の作り方とか、簡単にステディカムをつくるやり方とかが書いてある。僕は、こういうのを実際に作ったりする方ではないのだが、読んでいるだけで夢がひろがるいい雰囲気がただよう誌面づくり。 Make Magazineに関してのブログ記事を以前読んだことがあるなあと、思っていて思い出したのがnobiさんの情熱のこもった この記事 を思い出した。Make Magazineに興味のある方は是非。 もう一つ、会場で別の友人に教えてもらったのだが、使われていた会場が、Etsy Labという、DIYものを誰でも売り買いできる http://www.etsy.com/ というサービスに関連するスペースだった。これも、面白いサービス。 以前にソニー関連の会社で働いていたときに、

NYでのアート関連配布物

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やっと、 NY Art Beat のブックマーク型のフライヤーが印刷できたので、NYABに関わってくれている人を通じてや、NYABに掲載されている美術館、ギャラリーなどでの配布を始めました。まだまだNYでの知名度はそれほどでもないにも関わらず、有名どころも含めて多くのギャラリーがフライヤー配布に協力するよと返事をくれたのには、うれしかった。 今回はNYでギャラリーを回るのに便利なマップを2つご紹介。 一つ目は、ブルックリンのWilliamsburgエリアにある数十のギャラリーを集めた月刊のマップ、「WAGMAG」まだまだ若いギャラリーが多く、チェルシーなんかに比べるとずっと個人経営的で、インディー感のあるギャラリーが集まる地域。このエリアにあるギャラリーはほぼ全て網羅してあるので、最初に行くギャラリーでこれを見つけて、このエリアをまわるという使い方ができる。チェルシーのギャラリーの開廊日とずらすために、日曜日はあけて、月火水などを休むところも多い。 エリアにあるレストランなどの広告と、James Kalmというアーティスト/アートライターによるレビューも掲載。彼はいろんなギャラリーや美術館のオープニングに行って、デジカメのビデオ機能で、様々なアートピープルに突撃インタビューをしてYouTubeにあげることで結構有名。チャネルは こちら 。 2つ目は、マンハッタンの南東部、Lower East Sideと呼ばれるエリアを網羅したマップ。エリア自体が新しいので、このマップも多分今年に入ってから始まったんじゃないかな。去年末にNew Museumができて、一層この地域にスポットがあたるようになった。新しいギャラリーや、地価が上がったチェルシーのギャラリーが引っ越してきたり、チェルシーのギャラリーが2店目をオープンしたりしている。すでに40あまりのギャラリーができている。 地図と対面にギャラリーの一覧があるので、隈無く回りたい方には使いやすい。新しいのが手元になく、かなり使い古し感のあるマップの写真で申し訳ない。ここを全部まわるには丸一日か、まあ2日くらいはかかるかと。 このエリアもチェルシーとの開廊日をずらすため、日曜日をあけるところが多い。一覧に大きなSマークがついているのが日曜日空いてますという意味。僕も一度日曜日にこのエリアを回っていたら、有名なクリティックカップル