Posts

Showing posts from June, 2008

今週の展覧会10 in NY (6月30日の週)

今週はいろいろとばたばたしていた(理由は割と下らないが)こともあり、全くブログが書けなかった、、、。やばい。展覧会にはそれなりに行っているので、少なくとも10の展覧会だけはあげることに。 Os Gemeos "Too Far Too Close" Venue: Deitch Projects (Wooster St.) Schedule: From 2008-06-28 To 2008-08-09 Address: 18 Wooster St., New York, NY 10013 Phone: 212-343-7300 Fax: 212-343-2954 SOHOの大ギャラリーのダイチ・プロジェクト(4月にはヒロミ・ヨシイ氏キュレーションによる日本人作家の展覧会も行われた)のオープニングに昨日行ってきた。かなりパワーを感じる個展で、立体も大きいし、壁のペインティングも大きいしよくやったなという一言。ブラジルのストリート出身の彼らに、ジェフリー・ダイチが好きにやらせた結果でしょう。クリティックのジェリー・ソルツも勿論来場。 "Absolutely Venomous Accurately Fallacious (Naturally Delicious)" Exhibition Venue: Deitch Projects (LIC) Schedule: From 2008-05-10 To 2008-08-16 Address: 4-40 44th Drive, L.I.C, NY 11101 Phone: 212-343-7300 Fax: 212-343-2954 こちらも、川縁の巨大倉庫をそのまま使ったダイチ・プロジェクトの夏用別館(クラブみたいなパーティー会場ともよべる)のインスタレーション。これまたブラジルのアーティスト集団assume vivid astro focusによるもの。上記同様、好き放題やった感じがあって、東京都現代美術館の「Space For Your Future」での展示よりずっとのびのびしている。 "The Left Hand of Darkness" Exhibition Venue: The Project Schedule: From 2008-06-26 To 200

今週の展覧会10 in NY (6月16日の週)

2週目でやや息切れ感が出てきた。というのも、夏前で少しギャラリーがスローダウンしはじめているから。8月は週に10選ぶのは無理かも。 Roy Lichtenstein "Girls" Venue: Gagosian Gallery Madison Avenue Schedule: From 2008-05-12 To 2008-06-28 Address: 980 Madison Ave., New York, NY 10075 Phone: 212.744.2313 Fax: 212.772.7962 NYに3つギャラリーのあるGagosian Galleryのアッパーイースト支店。今までまとまって見たことがなかったリキテンシュタインも、こうしてまとまって見ると初めていいかもと思った。 こっそりダミアン・ハーストの薬箱シリーズの展示も行われています。 Ellen Cantor "Within a Budding Grove" Venue: Participant Inc. Schedule: From 2008-05-22 To 2008-07-06 Address: 253 E Houston St., New York, NY 10002 Phone: 212-254-4334 Fax: 212-254-4141 Sanaa設計で話題になったニューミュージアムで湧くLower East Side地域でも一際リラックス感漂うギャラリーで、脱力系のストーリードローイングの展示。 Cliff Evans "Empyrean" Venue: Luxe Gallery Schedule: From 2008-06-14 To 2008-07-26 Opening Reception: June 14, 7-9 pm. Address: 53 Stanton St., New York, NY 10002 Phone: 212-582-4425 Fax: 212-582-2366 同じく、小さなギャラリーが毎月のようにできるLower East Sideにある小さなギャラリーでの大きなビデオプロジェクション作品。メディアアートを中心に取り扱うギャラリーだそう。 Anish Kapoor Venue: Gladsto

アメリカのアートコレクター予備軍(日本も?)

The Contemporaries という会員制アートクラブ(片仮名にするとなんだか怪しいが)というのがあるそうだ。ハーバードのビジネススクール出の2人のアート好きが2003年に始めたそうで、招待制、今や正メンバー500人、準メンバー3500人にもなるそうで、20代後半から30代の若いプロフェッショナル(弁護士、投資銀行員、その他ビジネスマン)がアートに親しみ始める場の提供をするメールベースのクラブのようだ。コレクターを招いてのレクチャーや、ギャラリーツアー、パーティー、メンバー向けオークションなどを企画してメールで参加を呼びかけ、参加希望の人は予約をして現場にくるという単純なクラブだが、参加費$100くらいの企画もとても盛況のようだ。主催側がアートのプロではなく、同じような世代の愛好家であるということで、美術館などの会員になるよりも敷居も低く参加しやすいということだ。上記サイト内右のWall Street Journalの記事が分かりやすくて面白い。 ここでよくある、アメリカには若い人にまで金持ちでアート好きの人がいていいなあ、それに比べて日本は、、、と言ってしまえばそれまでだが、The Contemporariesの参加者と同じような想いを持った人って、もしかしたら日本にも相当数いるんではないだろうか、なんとなくとっかかりがないけれども、美術館に行って作品鑑賞するだけでは物足りないとか、もっと単純に、車の次に何買おうかななんて思っているような若いプロフェッショナルの方々。どなたかいかがですか?こういう企画。雑誌だって アート特集の方が売れる時代 だそうだし。 アート業界の人がこれを企画するとなんだか広がりが無くって、胡散臭くなってしまうんだろうけれど、愛好者の立場の人がカジュアルにうまく企画するととてもスムーズに行くような気がする。日本のギャラリーも、オークションハウスも、美術館もこういう企画はウェルカムだと思う。 今の日本のアートシーンは本当にちょっとしたことでがらっと雰囲気が変わるような気がしている(とても直感的に)。アート業界内だけで回ってしまって、なかなか発生してこなかったアート関係者と"積極的アート愛好者/コレクター予備軍”(単純な美術館来場者ではない)の間のコミュニケーションが生まれ始めることで正のスパイラルが一気にまわるかもしれない。そ

Business Weekに掲載!

Image
とても簡単にではありますが、TABとNYABについてBusiness Weekのオンライン版に 書いて もらえました。 少し話はずれるのですが、昨日からNYABにくる検索キーワードトップが"Masayuki Yoshinaga"でどうしたんだろうと驚いていたんですが、NY TimesにRoberta Smithが書いたICPの日本人作家を紹介する "Heavy Light"展覧会のレビュー の中に、吉永マサユキさんの写真がモニターでスライドショーでしか見れないのが残念だが、明日まで、Lower East SideのギャラリーM Wakasa Presentsでプリントが見られるよと書いていたのを読んだ多くの人が、彼の名前をググって見つけたのが、 NYABの展覧会情報 だったようだ。 実は、上のBusiness Weekの紹介記事よりも"Masayuki Yoshinaga"の検索によるトラフィック流入のほうが多いから驚きだ。

The Affordable Art Fair 2008にいってきた

Image
今日の夕方、 The Affordable Art Fair 2008 (手の届くアートフェアとでも訳せるのかな)というアートフェアのプレビューに行ってきました。価格帯が$100から$10,000ということで、世界中のトップギャラリーが集まる所謂アートフェアーとは違って、割りと和気あいあいとしていて、、、と書きながら、これって、基本的には自分が今年の4月に関わった101 TOKYOの価格帯とほぼ同じだなと気がついた。よく考えたら、日本の多くのコンテンポラリーの作品はほぼここの価格帯に入るんじゃないだろうか。NY以外にも世界6都市で開かれているそうだが、NYにでているのはアメリカのギャラリーがやはり多かった。作家も、ギャラリーもそれほど有名という訳ではなく、作品の質もピンキリである。そう考えたら、日本のコンテンポラリーアートは絶対に割安だろうと思う。 とはいえこのアートフェアーの特色は、良くも悪くもカジュアル感だ。ポスターに使われているイメージも、安い中華テイクアウトの包装ボックスやコーヒーのテイクアウト用のカップを使っておしゃれに仕上げ、肩肘張らない雰囲気作りで、それほど日頃アートになじみがなさそうな若いお洒落ビジネスマン、ウーマン的な人たちが会社帰りにちょっと寄って買い物していくという感じ。 フェア会場内には、ラッピングコーナーがあって、洋服でも買うように、とても幸せそうな顔をした人々が、ペインティングや、小規模な彫刻作品をブースからここまで手で運んできて、係の人と簡単に梱包してそのまま家にもって帰っていく。みんなうれしそうで、会場の周辺には、丸めたドローイングやキャンバスを持って帰る人々の姿が目立つ。ちょっと高めのポスターを買う感覚で、なんというかニューヨークのアートマーケットの層の厚さというか、間口の広さを感じた。作品を眺めて少しがっかりしていた自分が、なんだか毒されているような気さえした。 日本にだって、「夏になったから床の間に新しい掛け軸でも買おうか。」そういう気分は自分の親の世代にはあまりないが、祖父母の世代にはあったんじゃないかというのがふと頭をよぎった。

ギャラリーの中国進出加速

それこそ昨日のポストからもリンクしたのだが、4月の末にPace Wildensteinの北京進出が NY Times はじめ大きく報道され、5月末にはうわさには聞いていたが、 Gagosianの香港進出 が伝えられ、今日は、束芋、サワヒラキなど日本人作家も擁するJames Cohanが上海に進出するとのプレスリリースが届いた。 日本のギャラリーも、東京画廊が北京に以前から、そして今年に入って、ミヅマギャラリー、ワダファインアートが支店を開き、上海にはツアイトフォトサロンが進出している。 中国進出と一言で言ってもすでに三都市。北京や上海は税制上は日本以上に不利なようだが、それでも多数の中国人コレクターがいるのだろう。そしてGagosianの人に少し聞いたのだが、香港は、オークションが行われる都市で、税金が格段に優遇されていて、また地理的に香港人だけでなく東南アジアのコレクターにとってとても都合のいい場所だという。 東京でも最近、税制の優遇が認められる金融特区が計画されているようだが、多くのアート関係者の念願である芸術特区も同時にできないものかなあ。東京でなくとも、横浜なんかいろんな意味でいいと思うのですが。

今週の展覧会10 in NY

Image
ブログをはじめて、どのようにリズムを作っていこうかと考えた挙げ句、週に1度、実際に行ってオススメできる、まだ行っていないが気になっている展覧会をなんとなく10個選んでみようと思い立ち、はじめてみる。順不同。NYにいらっしゃる方には来週のご予定の一助に なれば。日本の方には、ニューヨークではこんなのやってるのかくらいにと。意識的に日本フィルターをかけての10展覧会。 "Dargerism: Contemporary Artists and Henry Darger" Exhibition Venue: American Folk Art Museum Schedule: From 2008-04-15 To 2008-09-21 Address: 45 W 53rd St., New York, NY 10019 Phone: 212-977-7170 Fax: 212-977-8134 MOMAのおとなりでひっそりと開催されていて地味だけれども、ダーガーの影響を公言する現代アーティストを集めたかなり秀逸な展覧会。ダーガーが70年代から紹介されていたことに驚き。 Zhang Huan "Blessings" Venue: PaceWildenstein (534 W 25th St) Schedule: From 2008-05-09 To 2008-07-25 Address: 534 W 25th St., New York, NY 10001 Phone: 212-929-7000 Fax: 212-929-7001 Pace Wildensteinとうとう 北京に進出 記念ということもあるのか、チェルシーの2つのスペースでのZhang Huanの個展、とにかくでかい。牛丸ごと多分30匹くらいつかって作った赤ちゃんの巨大ぬいぐるみ。大きさにびびるついでに、価格表のsold outにもう一度びびる。 Takashi Murakami "© MURAKAMI" Venue: Brooklyn Museum Schedule: From 2008-04-05 To 2008-07-13 Address: 200 Eastern Parkway, Brooklyn, NY 11238 Phone: 718-63

Dia:Beaconと銀閣寺

Image
約3年ぶりくらいになるだろうか、天気のよい週末ということもありニューヨーク郊外、電車で片道90分くらいのところにある Dia:Beacon というアート施設に行ってきました。 Dia財団が巨大な工場を改築して作った常設展示のみのアート施設で、ヨゼフ・ボイス、ゲルハルト・リヒター、ベッヒャー夫妻などドイツ現代アートをはじめ、河原温、もうすぐグッゲンハイムで個展が始まる ルイーズ・ブルジョア 、ウォーホールなど戦後の巨匠が目白押しで、圧巻は美術館でもやれなさそうなリチャード・セラの超巨大な彫刻作品群です。 ギャラリーが今、現在のものを逸早く紹介し、美術館がそれを歴史化していくとすれば、なんというか、ここは時間を止める施設とでもいいましょうか。現代アートの墓石という揶揄を聞いたことも何度かあります。 常設展示だけなので、もちろん前回行ったときととほとんど変わらないのですが、2度目に訪れて、「銀閣寺のお庭みたいだな。」と何気なく感じました。 圧倒される感覚、静謐な空気感など、すぐれた神社、寺院、教会などが持つ有無を言わさぬ荘厳性を感じ、一つ一つの作品が、いわば銀閣寺の築山のように、どうしてすばらしいのかという説明を必要としない空間が形作られているような気がしました。(会場での作品の解説文はどれも、コンパクトに要点を説明するすばらしいものなのですが) 以前、森美術館で ビル・ビオラにインタビュー したときに、彼も美術館と教会の類似性を指摘していたけれども、時代の流れに真っ向から逆行しているようではあるのですが、ギャラリー、美術館だけではなく、昔の神社、お寺、そして教会に変わるこのような施設もやはり必要なのかなあという思いが、頭の片隅を少しよぎりました。 ちなみに施設内は(プレスでも)写真撮影禁止なので、外観しかありませんが、いつもと違ってそれに不快感を感じないほど、この場所は写真では代用できないからまあ別にいいかと思わせる施設です。賛否両論あるかもしれませんが、是非一度訪れてください。

Art Space Tokyo

Image
TABの友人のPublisher/Designer, Craig Mod とTABlogの編集長/ライターの Ashley Rawlings が手掛けた「 Art Space Tokyo 」という英語による数少ない東京のアートスペースのガイドブックが4月から日本で出版されました。ガイドブックというには勿体ない美しい装丁で、東京の多くのアート関係者(美術館館長、ギャラリスト、 アートフェアーディレクターなど)へのインタビューとキュレーターやアート編集者によるエッセイなどが収録されたハードカバーの本です。 なんだか気恥ずかしいですが、Tokyo Art Beatと101 TOKYOに関して私も少しインタビューに答えています。このブログのプロフィールに使わせてもらっているイラストレーションはこの本用に去年のTABTシャツコレクションにも参加いただいた 高橋信雅 さんに描いていただいたものです。 日本では、森美術館のミュージアムショップをはじめアートブックストアで販売しているほか、 オンラインでも直接買う ことができます。もしご興味があればチェックしてみてください。

運慶と村上隆

Image
今年の3月末にニューヨークのクリスティーズで運慶作の木造大日如来坐像が12億5千万円で真如苑に落札されたときには、「日本の国宝級の美術品が海外流出を免れた。」、「海外でのオークションの日本美術作品の最高額。」とかで、日本のメジャーな 新聞 、テレビなどが大きく取り上げた。 その2ヶ月後に、同じニューヨークのサザビーズで村上隆のMy Lonesome CowBoyが16億円で落札されたときには、メジャーなメディアではさらっと流す程度、ブログなどでは、フィギュアに16億円なんて西欧人の考えることはよくわからんというような反応が多かったような気がする。 この2つの出来事を並べたときに、よく考えたら、少なくとも現時点で、村上隆の落札額が国宝級の運慶作品を上回っていること、さらに現在ブルックリン美術館で開かれている村上隆の個展に出ている彼の大作のほとんどの所有者が西欧人であること(高橋コレクションの所蔵作品が入っているのを除いて)を言い換えれば、国宝級の作品を上回る価格がついている日本人作家の作品の大半がすでに海外流出しているということでしょう。 私個人として村上隆の作品をとても気に入っている訳ではないのですが、それでも百歩譲ってこの2つの事柄に対する世の中的なリアクションは少しおかしいと感じました。 オークションはあくまで結果であって、その金額を説明するのは基本的にはそれを買った人にしかできないと思うのですが、美術作品だけでなく、日々食べている魚の値段も基本的にはオークション形式で価格形成されているわけで、マーケットを形作るかなり有力な方法なわけです。今回の結果、あるいはもう少し一般的なトップレベルの現代アート作品の取引価格について、少なくとも日本のメジャーメディアの文化欄を担当されている方はある程度受け入れた上で中身のある分析をしてもらえればなあと思います。 その中では、 産経のこの記事 は一番つっこんでいる気がしますが、文化欄担当の方がかいていらっしゃるわけではなさそうですね。日本の文化にとって大きなインパクトがある出来事だと思うのですが。

NY Art Beatの開始(1ヶ月前)

Image
http://www.nyartbeat.com 2008年の1月にニューヨークに引っ越して準備を進めてきた NY Art Beat が2008年4月25日に無事にスタートしました。 このブログ自体が停滞していたため、1ヶ月あまりたっての告知となりますが、(情けない)ニューヨーク中の美術館、ギャラリーなど850以上のアートスペースで行われている展覧会を常時600から700くらい掲載しています。こちらでははじまったばかりでまだまだ知名度は低いですが、展覧会網羅率では一番だと自負しております。 東京が4年目の現在で600程度のアートスペースをカバーしているのですが、当然ながらニューヨークのアートシーンは巨大です。数字だけを比べると東京とそれほど差がないかなと見えるのですが、東京で多くを占めるいわゆる貸し画廊はニューヨークではとても少ないので、コマーシャルギャラリー(企画画廊)だけでくらべると5倍以上ですかね。さらに作品も巨大で高価なものが多いので、マーケットサイズはさらに一桁あがる感じでしょうか。 NY Art Beatはニューヨークに住むすばらしいart lovers10名程度のボランティアと、2名のNYABlog編集者、10名程度のボランティアライター、そして共同設立者2名で運営されています。 TAB, KAB 同様ブログパーツも用意していますので、是非皆さんのブログにニューヨークの展覧会達を貼付けてください。 http://www.nyartbeat.com/resources/doc/badge ニューヨークにお住まいの方、ニューヨークに行く予定のある方、そしてニューヨークのアートシーンに興味のある全ての皆様に使っていただければと思います。