Dia:Beaconと銀閣寺


約3年ぶりくらいになるだろうか、天気のよい週末ということもありニューヨーク郊外、電車で片道90分くらいのところにあるDia:Beaconというアート施設に行ってきました。
Dia財団が巨大な工場を改築して作った常設展示のみのアート施設で、ヨゼフ・ボイス、ゲルハルト・リヒター、ベッヒャー夫妻などドイツ現代アートをはじめ、河原温、もうすぐグッゲンハイムで個展が始まるルイーズ・ブルジョア、ウォーホールなど戦後の巨匠が目白押しで、圧巻は美術館でもやれなさそうなリチャード・セラの超巨大な彫刻作品群です。
ギャラリーが今、現在のものを逸早く紹介し、美術館がそれを歴史化していくとすれば、なんというか、ここは時間を止める施設とでもいいましょうか。現代アートの墓石という揶揄を聞いたことも何度かあります。
常設展示だけなので、もちろん前回行ったときととほとんど変わらないのですが、2度目に訪れて、「銀閣寺のお庭みたいだな。」と何気なく感じました。
圧倒される感覚、静謐な空気感など、すぐれた神社、寺院、教会などが持つ有無を言わさぬ荘厳性を感じ、一つ一つの作品が、いわば銀閣寺の築山のように、どうしてすばらしいのかという説明を必要としない空間が形作られているような気がしました。(会場での作品の解説文はどれも、コンパクトに要点を説明するすばらしいものなのですが)
以前、森美術館でビル・ビオラにインタビューしたときに、彼も美術館と教会の類似性を指摘していたけれども、時代の流れに真っ向から逆行しているようではあるのですが、ギャラリー、美術館だけではなく、昔の神社、お寺、そして教会に変わるこのような施設もやはり必要なのかなあという思いが、頭の片隅を少しよぎりました。
ちなみに施設内は(プレスでも)写真撮影禁止なので、外観しかありませんが、いつもと違ってそれに不快感を感じないほど、この場所は写真では代用できないからまあ別にいいかと思わせる施設です。賛否両論あるかもしれませんが、是非一度訪れてください。

Comments

  1. 最近、知人と2度目のDia:Beaconに行きました。
    実家が銀閣寺の袂なので、このタイトルに反応してしまいましたが、確かに寺院や美術館の雰囲気に近い世界間を感じるものがあります。

    心の準備というのでしょうか、マンハッタンからの長い道程もまた、洗練され淘汰されていく大仙院の禅道の様です。

    響くものがありました、有り難う御座います。

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  2. >naoki takanobuさん
    常設展示だけなのに多くの人に何度も足を運ばせるあの力はすごいですね。

    確かにハドソン川沿いを上っていくのあの車窓もとてもいいですよね。

    ご実家が銀閣寺の袂とはうらやましいです。

    コメントありがとうございます。

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