MOMAのtwitterアカウントはダマテンではじまった。



MOMAのデジタルマーケティングマネージャー(MOMAにはこういう役職があるのがすごい)のVictor Samra氏のプレゼン。

先日、NYで"Arts/Tech meetup"という月一くらいのカジュアルな会合を開いているJulia Kaganskiyと会って話したのだが、彼女の話では、今、多くのアメリカの美術館がウェブ経由のマーケティング、広報活動に突然のように興味を持ち出しているとのこと。ほとんどの美術館がウェブの制作からその管理まで外注に頼っているのだが、少しずつインハウスのスタッフに切りかえるべきかどうかなどが大きな関心の的のようだ。景気の冷え込みとともに一気に予算が減ってしまっているアメリカの美術館が広報戦略の新たな(全然新しくないが)メディアとして結構本気で取り組み始めているようだ。4月中旬に開かれたMuseums and the Webというカンファレンスにも全米から美術館のデジタルメディア担当者が集まりかなりの盛り上がりを見せたそうだ。

彼女(仕事は直接美術館とは関係ない)との話の中で、自然に昨今の美術館のtwitterアカウントの話になって、やはり多くの美術館で、組織の官僚制とtwitter広報がぶつかってうまくやれていない美術館が多いねという話になった。彼女が2月に開いたArts/Tech meetupでのプレゼンの一つが上の動画で、MOMAのデジタルマーケティングマネージャーがtwitterについて話していて、彼も意識的に「MOMAのことだけを一方的に伝えるのではなく、極力、外のことについてふれるようにして、コミュニケーションを作り出すようにしている」的なことを言っているし、最後に質問で、「上司が常に承認しているのか?」というのに対して、「実は、彼が担当者として勝手に試してみて、コミュニティーが大きくなって、うまくいきそうなところで、上司に報告した。オンライン広報は、承認をとろうとするよりは、いろいろ試してみて、あとから実はやってましたと、上司に謝るのが一番いい。」みたいなことを言っていて、この辺は程度の差こそあれ、日本もアメリカも変わらないなと思ってとても感心した。

twitterはあくまで一つのウェブツールにすぎないが、スピード、広がり、公開性、相互性などの点で、なんとなく典型的にウェブ的なコミュニケーションを体現しているような気がする。物理的にハンコが押されて、承認されたものの結果物としてのコミュニケーションでは決定的にうまくいかない現実を前に、多くの官僚的組織からなる美術館(どんな組織でも)は、仕事の流れから根本的に変えることができるのか。これは大げさに聞こえるが、厳然と存在する問題かもしれない。

Comments

  1. ようやくMuseum and the Webも注目されるようになりそうだね。2000年代に入ってからは、かなり先進的なプロジェクトが動いているし、論文も全てweb上に上がっているし、いい学会だよ。

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  2. ご無沙汰。日本にはこういう学会ないんですか?

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  3. ご無沙汰です。

    残念ながら皆無。あれば、もっと僕も注目される研究者になっているだろう…。

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