Posts

TABとNYABのiPhone Applicationsがついにリリース

Image
遅れに遅れていたiPhoneアプリをとうとうリリースすることができた。NY時間で2月12日(金)の夜にAppleから承認メールが来たときには久しぶりに大興奮してしまった。2009年のはじめに、西海岸のUIデザイナーの Suzanne Ginsburg とiPhoneアプリのコーディングをやている Chuck Soper からNYABとTABのアートイベント情報のAPIを使ってiPhoneアプリを作りたいんだけどというオファーがきたことがきっかけだった。彼らは自分達でつくるからデータ使用に関してなんらかの同意をというスタンスだったが、自分たちでもいつかはiPhoneアプリをと思っていた僕たちは、なら共同でつくろうという話にして、初期デザイン、コーディング、調整、コーディングというプロセスをすすめていった。2−3ヶ月で2009年夏前にはバージョン1をリリースする予定だったのが、いつも通り遅れ、じゃあ、9月のオープニング時期に、それもかなわず、11月のTABパーティーに、それもかなわず、年内に、それもかなわず、ついにほぼ1年もかかったがやっとリリースすることができた。難産だっただけに感動も一潮というところだ。TABアプリの詳細は このページ から、 NYABアプリ はこちらから。 どちらもUIは日・英バイリンガルで、iPhoneのOS言語設定を変更することで、アプリの言語設定も変わるようになっている。NYABのイベント情報など、中身は英語のみ。アプリで何ができるかについては下記だが、これは実際に使っていただくのが一番早い。 -東京(NY)で開催中の500 (600)イベントを、人気度やメディア、エリア、開催日時で並び替え -「周辺検索」~ 最寄のイベントを歩いていける距離から地図で表示 -「人気のイベント」~ 今話題の展示を確認 -地図、方角、開館時間を見ながら目的地に迷わず到着 追加予定機能:ブックマーク機能、検索機能、他のサービスとの連携 iPhoneのGPSを使って、自分の居場所の周辺の展覧会情報をリストアップしてくれて、地図上に10ほどのピンを出してくれるなど、モバイルならでは、またiPhoneならではのビジュアルインタフェースでさくさく使える。今後も少しづつ改良を加えていく予定。アートビートはアート・デザインのイベント情報を提供していくことで、こんなにたくさんの...

Tokyo Art BeatのDonationキャンペーンについて

Image
このブログを読んでいただいている方はご存知の方も多いかもしれないが、先週、Tokyo Art Beatを運営するNPO法人GADAGOへの寄付募集のキャンペーンをはじめさせていただいた。詳細は 寄付ページ より。是非よろしくお願いします。TABを初期から支えてくれている橋本さんも勇気を振り絞って Art itで紹介して くれています。 現在、開始から1週間たらずのうちに、世界中の50人以上の方から総額13万円以上の寄付をいただいている。1ヶ月のキャンペーン期間のうちにどれだけご支持いただけるかはわからないが、目標は大きく150万円としている。私は、現在、NY Art Beatの運営をしていることもあり、TABの日々の業務には直接的にはタッチできていないが、NPO法人GADAGOの3人の理事のうちの一人に名を連ねているし、またもちろんTABは自分の子供のような存在でもあるので、できるだけ状況は把握して、手助けができるところはするようにしている。 今のところTwitter経由の告知からしていただいている寄付が大半だ。直接的にTABのtwitterのつぶやきから知っていただいた方、TABをサポートしてくださる有力Twittererの方のRTから来てくださるかたなど。また、Twitter経由で、寄付だけでなく、 情報公開が足りないなどの重要なアドバイス もいくつかいただき、まだまだ全然足りないが、急遽 NPO法人GADAGOについての記述 を追加したりしている。 NPO法人GADAGOは大きく2つのことを行っていて、1つがTABの運営、そして年6回の アートマップの発行 で、ざっくりどちらも年間1000万円程度の予算で行っている。支出の内訳としては、サイトのほうが人件費(広報、営業、編集、翻訳)が大半、あとは事務所家賃、そしてサーバー代その他というところ、マップは紙、印刷代が大半、運送費、人件費(デザイン、営業、編集、翻訳)というところで、サイトの中のTABlogの執筆、編集、そしてサイト全体のデザイン、プログラミング、その他多くの部分を無償のボランティアに頼っている。逆にその予算の収入を見てみると、サイトのほうはバナー広告が大半、そしてTシャツを中心とした物販、若干の寄付、マップのほうは、マップ上の広告、記事タイアップが大半、石橋財団からの助成金(3−4割)という内訳にな...

あけましておめでとうとTokyo Art School告知

Image
少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。 ブログは3ヶ月も停滞してしまった、、、。 お正月はできるだけ家族が住む関西で過ごそうとしていて、今年も京都の祖母の家で過ごした。 ただ、12月31日にNYを発って、1月1日に日本に着く飛行機で帰ったのだが、これをやると年越しの瞬間というのが無くなってしまうことに飛行機の中で気がついた。大晦日のお昼くらいにNYを出るときに、日本はだいたい年越しを迎えており、そのまま、飛行機はだいたい時差と同じくらいの速度(つまり地球の自転の速度)で飛行機が移動するので、飛行機がいる場所の時間(アラスカを通るときにはアラスカの時間)はほとんど一定なので、ずっと大晦日の午後なのだが、日付変更線をまたいだ瞬間に1月1日の午後になってしまうのだ。まあ、よく考えれば当然で、今までにNYと東京を何往復もしていて、その間に同じことはいつも起こっているに、年越しという特別な瞬間にそれをやると突然不思議な気分になる。ということで、今年は心情的には年越しはありませんでした。 よく聞かれたのが、年越しのフライトなのだから、シャンパンのサービスくらいあるの?という質問だが、僕たちはANAで飛んだが、何も特別なことは無かった。まあ、それとは無関係にエコノミークラスの座席をプレミアムエコノミーという食事は一緒だけれど座席が一回り大きいものにアップグレードしてくれたので、割と幸せな気分で帰国することができた。 関西では祖母の家で、基本的には何もしないで、美味しいおせち料理を食べて、お酒を飲んでいただけ。 ワイン好きの叔母が、すばらしいワインのセレクションをご馳走してくれて、最高だったのは、なんと、毎年ラベルにファインアーティストを起用しているムートン・ロートシルトの2003、この年は、ロートシルト(ロスチャイルド)家がワイナリーを買って150周年ということで、記念ラベルでアーティストのものではなかったが、味は、ワインは好きでよく飲むけれど高いワインはほとんど知らない僕にも 飛び抜けて美味しかった。 東京に移動してからは、夫婦二人で10日ほども2人の友人の家にお世話になってしまった。東京では、2日間は、人から頼まれて取り組んでいるキース・へリングに関するとても興味深くて意欲的な手法で書かれた英文エッセイ(約40ページ)の翻訳の仕事をみっちりやった以外は、美術館...

9年9月9日オープニング巡りとJames Turrell

Image
さて、明日は、夏休みあけで1年で一番多くのオープニングパーティーがNY中で開かれる。NYABが把握しているだけでも 117ものオープニングが予定されている 。チェルシーは多くの人でにぎわうことだろう。今日は、その1日前ということで、チェルシーと日が重ならないようにと計画されたであろう若手ギャラリーが集まるLower East Sideエリアのオープニングデーであった。30−50くらいはあったのではないだろうか。若手ギャラリーが集まるエリアで固まって1日前にオープニングが開かれるなんてまるでアートフェアーのようだが、昨今チェルシーの老舗ギャラリーからの出展が減っているNY最大のアートフェアのアーモリーショーが音頭をとって、来年のアーモリーに出ることが確定しているLower East Sideのギャラリーのオープニングをリストにしてプレスに事前に送るという異例のことも行われた。不況でアートフェア運営が容易ではなくなっていることとともに、Lower East Sideのギャラリー達が重要視されてきているということでもあるだろう。チェルシーに比べれば規模がかなり小さい多くのギャラリーだが、どこも混んでいて、Rivingtonストリートのいくつかのギャラリーを足早にまわったあと、チェルシーで唯一行われた日本でも大人気の James Turrellのオープニング に行ってきた。 まずは、Lower East Sideのオープニングの中でも評判が良かった Sue Scott GalleryのFranklin Evans展 の様子を3枚。 ギャラリー内が、様々な紙や日常的なマテリアルで埋め尽くされていて、2階にあるギャラリーへの階段からインスタレーションは始まっている。特筆すべきは、地面のいたるところにしかれたプチプチ音がする梱包材。作品の一部を踏むことで体感するタイプのものはあまり無かったかも。 そしてこのエリアではかなり有力な Salon 94でのCarterによる展示 。写真ではわかりにくいが、大きなモノクロイメージ(映画のセットらしい)の上に、ペイントを細かく載せてある。一言でいうと今風。NYだと、こことかTeam Gallery的で、東京だとTaka Ishii Gallery的な雰囲気かなと。 チェルシーほどギャラリーが密集しているわけではないが、ストリートはギャラリー...

アートに関するアーカイブ

Image
夏休みに訪ねたアーティストのFrancis Cunninghamさん が、滞在中に昼ご飯にと、近所の畑から直送のとてもおいしいトウモロコシをゆでてくれてバターと塩でいただいたのだが、僕がこれまで食べた中で一番おいしいトウモロコシであった。 その様子を撮ったビデオが上のビデオだが、妻がカジュアルに撮った物で、これだけ見るとなんのことはない、アマチュア感あふれるプライベートの簡単な料理説明ビデオで、アーティストの彼はこれをオンラインにあげるのはあまり歓迎しないかと思っていた。それが、80歳の彼やその家族がこれを見て、大喜びで、是非、彼の公式ブログにもこの動画をあげてくれとのことで、 あがっている 。この反応はとても意外だったが、ポジティブな驚きで、アーティストと、アーティストに関する多くの表象物に関して考える切っ掛けにもなった。 昨今、様々なデジタル技術、情報処理技術、それらのシェア技術が進歩して、アーカイブに関してのハードルがかなり下がったこともあり、アートの分野でも、これまでは作品を美術館で保存して、あとはそれに関する出版物をアーカイブするのがやっとというところから、もっと多くのテキスト、画像、動画、音声、それから作品のマテリアルに至るまで、様々なものが様々な場所、メディアでアーカイブされ始めている。今回、このアーティストによる、全くアートとしてのアウトプットとして意識したものでないトウモロコシ料理ビデオを見て、ああ、こういうものもアートに関するアーカイブに含まれてもいいなあと感じた。アートに関するアーカイブというと、いくらハードルが下がって、特別な技術無しに様々なものがアーカイブできるとあっても、そのアーカイブを作る側には、ある一定の先入観があって、これまでどおり、美術史的、学術的に価値がありそうなものを無意識に選別してしまうし、インタビューという形をとれば、30分ー1時間、とても緊張したアーティストとインタビューワーが、そのアートに関するインタビューを双方が全力でやって、それをしっかり編集したものができあがり、保存されていく。これはこれでとても重要な活動でどんどんされていくべきだが、このトウモロコシビデオのように、直接アートに関係がなくとも、間接的に、アーティストとしての彼、彼のアート作品に対するイメージ、広がりに、幅、彩りをあたえる切っ掛けを見いだすマ...

「Style Wars」 70/80年代のNYのグラフィティー

Image
ひょんなことから、80年代につくられたNYのグラフィティーシーンに関するドキュメンタリーの 「Style Wars」 を見て、とっても驚いた。NYの地下鉄が走っているシーンではじまるのだが、なんだかSFのようだ。知識として70年代、80年代のNYの街はグラフィティーで埋め尽くされていたというのを知っていても、実際にグラフィティーに塗り込められた地下鉄が走るシーンを映像で見ると全然違った。昔からNYにいる人は、昔のNYの地下鉄はきたなかったんだと言うし、その当時の人達にしてみたらグラフィティーなんて不良少年達がやるもので、迷惑だと多くの人達は思っていただろう。でも当時のヒップホップやブレイクダンスといきいきと編集されたその映像をDVDで見た感想を正直にいうと、美しい、すばらしいだった。今のNYはNYで街として安全だし、きれい(昔よりは)だし、魅力的だが、はっきり言ってこのDVDに映っているNYはずっと魅力的に見える。 日本にはグラフィティーの波は来なかったので、日本で生まれ育った僕には、なんというか写真/映像の世界だが、今でも、NYと東京の違いはと聞かれれば、NYにあって東京にないのはグラフィティーをはじめとするストリートアートです。と答える。知識としては、今のグラフィティーなんて、70、80年代のものに比べれば全然違うことは知っていても。ヨーロッパには、MTVをはじめとするテレビを通じて、80、90年代にはグラフィティーが伝播したようで、数年前に東京オフィスで手伝っていたドイツ人ウェブデザインスタジオのLess Rainは「 LRPD Vandal Squad 」というオンライングラフィティーペイントツール/ネットワークをだいぶ前に作ってかなり話題になったし、今でもアクティブに参加している人も多い。でも、横で働いていても、日本人の僕にはピンと来なかった。でもこのDVDを見たあとなら、なんとなくピンと来るような気がする。 今のNYのグラフィティーは、70、80年代の本当に素性を隠して町中に描いては消されていくタグの存在主張だけで成り立っていたものとは、大きく変わり、メディア/インターネット/デジタル写真/flickr/google mapなどと補強し合いながらグローバルにスター化して公然と認知され、コマーシャルギャラリーで取り扱われる「アーティスト」の活動になっている...

カタログで振り返る8月のNYアートシーン

Image
8月は観光客が増えることや、夏で日が長いことで、美術館では毎日のようにイベントが行われるが、いかんせんギャラリーはお休み、またはそれほどめぼしい展覧会をやらないので、なんと言ってもスローだ。みんな1年で一番力が入る9月の展覧会の準備中である。今年は、9月10日、もしくは17日にオープニングが重なっており、どちらの日もNY中で、50−100ものオープニングがある。NYにいらっしゃる予定のある方は是非どちらかの日の6時以降にチェルシーに行かれることをオススメする。 さて、本題。今月で一番すばらしい展覧会は、ブルックリン美術館でのインカ・ショニバレ・MBEの個展だろう。ナイジェリア系イギリス人の彼の作品で特徴的なのは、なんと言っても、Dutch Wax fabricとよばれるアフリカを連想させる派手なテキスタイルをアフリカを植民地化した当時の西洋人の洋服に使ったマネキン作品。ただ、今回初めて知ったのだが、あの誰もが(アフリカ人達も含めて)アフリカを連想するテキスタイルは実はオランダ人達が、東南アジアからアフリカに当時輸入したのが広まったものだそうだ。植民地化に伴う幾重にもからまる関係、イメージを様々なビジュアルで見せる彼の作品は、表層的には知っていたが、この個展という形で見てはじめてその重層性をつかむことができた。ちなみに、彼の名前の最後につくMBEというのは、member of Order of the British Empireの略でイギリス王家から授けられたそうで、植民地を扱うアーティストに、これが授けられたことを皮肉るためにも、この称号を使っているそうだ。シドニー現代美術館、ブルックリン美術館が中心になってキュレーションをし、ブルックリン美術館のあとはワシントンDCに巡回するそうだ。カタログもよくできている。展覧会は9月20日までなので、興味ある方は是非。 Yinka Shonibare MBE Exhibition Venue: Brooklyn Museum Schedule: From 2009-06-26 To 2009-09-20 Address: 200 Eastern Parkway, Brooklyn, NY 11238 Phone : 718-638-5000 Fax : 718-501-6136 Yinka Shonibare MB...