Tokyo Art BeatのDonationキャンペーンについて
このブログを読んでいただいている方はご存知の方も多いかもしれないが、先週、Tokyo Art Beatを運営するNPO法人GADAGOへの寄付募集のキャンペーンをはじめさせていただいた。詳細は寄付ページより。是非よろしくお願いします。TABを初期から支えてくれている橋本さんも勇気を振り絞ってArt itで紹介してくれています。
現在、開始から1週間たらずのうちに、世界中の50人以上の方から総額13万円以上の寄付をいただいている。1ヶ月のキャンペーン期間のうちにどれだけご支持いただけるかはわからないが、目標は大きく150万円としている。私は、現在、NY Art Beatの運営をしていることもあり、TABの日々の業務には直接的にはタッチできていないが、NPO法人GADAGOの3人の理事のうちの一人に名を連ねているし、またもちろんTABは自分の子供のような存在でもあるので、できるだけ状況は把握して、手助けができるところはするようにしている。
今のところTwitter経由の告知からしていただいている寄付が大半だ。直接的にTABのtwitterのつぶやきから知っていただいた方、TABをサポートしてくださる有力Twittererの方のRTから来てくださるかたなど。また、Twitter経由で、寄付だけでなく、情報公開が足りないなどの重要なアドバイスもいくつかいただき、まだまだ全然足りないが、急遽NPO法人GADAGOについての記述を追加したりしている。
NPO法人GADAGOは大きく2つのことを行っていて、1つがTABの運営、そして年6回のアートマップの発行で、ざっくりどちらも年間1000万円程度の予算で行っている。支出の内訳としては、サイトのほうが人件費(広報、営業、編集、翻訳)が大半、あとは事務所家賃、そしてサーバー代その他というところ、マップは紙、印刷代が大半、運送費、人件費(デザイン、営業、編集、翻訳)というところで、サイトの中のTABlogの執筆、編集、そしてサイト全体のデザイン、プログラミング、その他多くの部分を無償のボランティアに頼っている。逆にその予算の収入を見てみると、サイトのほうはバナー広告が大半、そしてTシャツを中心とした物販、若干の寄付、マップのほうは、マップ上の広告、記事タイアップが大半、石橋財団からの助成金(3−4割)という内訳になっている。
今回の寄付キャンペーンには2つの側面がある。多くの方の目にはTABは今回はじめて寄付を募っているように見えるかもしれないが、実は、NPO法人で運営するサイトとして、毎年のようにサイト上で寄付を募ってきた。そこでも、運営者から顔の見えるサポーターを中心に若干の寄付をいただいてきた。今回はやはりTwitterというインフラができて、TABもそれを積極的に利用してきたことで、日常的にユーザー、サポーターの方々とのコミュニケーションが発生するようになってきていた。そのインフラの上で、寄付の告知を行えたことで、今までよりもずっと大きな反響をいただけているし、また自分たちに抜けている部分を指摘していただけたりしている。サイトとユーザーの単発のコミュニケーションだったものが、サイトとユーザー、そしてユーザーからユーザーへという複合的なコミュニケーションに変化したようだ。このTwitterをはじめとする各種SNSなどのウェブ上のコミュニケーションツールによって、TABというサイトがそのサイトを超えたコミュニケーションをウェブ上で行えるようになってきたということか。つまり、コンテンツを載せたページを生成して、一部コメント欄などはあるものの基本的なコミュニケーションはメールや電話というウェブ上ではないツールに頼っていた時代から、ウェブ上にコミュニケーションそのものが起こっていくという時代になったのだなあと感じる。
もう一つの側面は、毎年やっていたとはいえ、今年はやはり特別で、キャンペーンページでも強調しているように、TABが財政的にとても厳しい状況におかれてしまったということがある。月並みな言い方をすれば、リーマンショック以降の世界の不況の波はTABにも押し寄せてきていて、サイトのメインの収入源であるバナー広告が2009年にはかなり売りにくくなったのだ。コストのかかる紙のマップをやるから大変で、まずはそれを辞めればいいのでは?というようなご意見もよくいただくのだが、実はマップは、モノが手にとれて、都内アートスポットで10万部というのには結構需要があるようで、未だにウェブよりもずっと実感しやすく広告を売りやすい媒体なのだ。もちろんマップがウェブの顧客をくってしまっているところは若干あるにせよ、結構別のクライアントが買ってくれている部分も大きく、マップをやめればサイトの財務が改善するということはなさそうだ。不況不況とは言いたくないが、結論としては、TABの広告のクライアントである美術館、ギャラリー、アートデザインコンペといった業界は2009年はかなり厳しく広報予算などをカットした影響で、身体的実感の無いバナー広告は真っ先に厳しい状況になり、もっと実感しやすいマップを始めていたおかげでそこの広告に助けられているというところか。
アートビートは規模としてはニッチだし、とても小さいし、ウェブでスタートしたメディアだが、根本的には全世界のメディアビジネスが直面している状況、つまり従来のメディアが頭打ちで、皆がウェブに流れはじめ、あるところでウェブからの収益が上がって従来メディアの減分を相殺してメディアビジネスの損益分岐点が見つかると思っていたのが、どんどん損益分岐点らしき点が下に降りて行っていて、どこで均衡するの???みたいな雰囲気の一翼はになっているような気がする。ウェブ前までは、広告のスペースというのは世界中で有限で、それをもとにどのくらいの人が見るかで単価が決まっていたのが、ウェブページがどんどん生成されはじめ、広告スペースが有限ではなくなってきたところで、どうも人のメディア消費時間のほうが有限なんだなと言う感じになって、メディアの単価が全体的にぞぞぞと落ちて消費時間のところでの均衡点を探っているという状況かなと。Avatarみたいに3時間弱のコンテンツを何百億もかけて作って、それを世界中で何億人もの人が2千円払って見るというものと、世界中で何億ページと生成されるページを常にボットでインデックスしていってそれをコンテンツにしていくGoogleのような存在の間で、大規模メディアも僕たちみたいな小規模メディアもコンテンツ生成のコストとその消費の大きさ・質から得られる収入の均衡点を探るためにもがきながら戦略を決めあぐねているということだろう。
長くなってしまいましたが、TABは皆様の寄付を必要としております。
こちらの寄付ページから是非よろしくお願いします。
Comments
Post a Comment