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Showing posts from July, 2009

140文字の美学ー日本語のつぶやきとEnglish tweets

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先日、Loftworkの林さんが書かれた 「森美術館が写真撮影を許可したことについての考察」 という記事がすばらしいとRetweetしたところ、それを2万人以上のfollowersがいる @nobi さんがさらにRetweetしたことで、僕が確認できるだけでもその後26人の人が連鎖的にどんどんRetweetしていった。RTがどんどん連なっていく様を眺めているだけでもおお、すごいなあと感心したが、それ以上に驚いたのがRTする際に、皆がとても律儀に誰のRTからRTしたのかわかるように@XXXというのがどんどん連なっていったこと。 私は、日頃、 個人のtwitterアカウント を主に誰へのtweetかで日本語、もしくは英語でつぶやいており、業務上は、日常的に NYABのアカウント を英語でつぶやき、まれにTABの日本語、英語のアカウントをつぶやいている。そしてどのアカウントでも読むほうは、日本語、英語ごちゃまぜである。総体的には以前はほとんど英語でつぶやいていたが、最近になって日本語でのつぶやきも増えてきたという感じか。そこで上記の連鎖で驚いたのは、英語のtweetsを読んでいると、あのように@XXXというのが続いているのを見たことがなかったから。 考えてみれば、全く単純で、作法の問題というよりは、140文字という縛りが英語と日本語で全然体感が違うだけなのだ。僕は翻訳の仕事をたまにするのだが、ざっくりいうと同じ内容のことを書くのに、もちろん文体にもよるが、日本語1文字に対して、英語2文字弱くらい必要になる。 体感としては、英語でつぶやく時には、140文字なんてすぐに過ぎちゃって、新聞の見出しよろしく、どの部分を切るかパズルを解いてつぶやくことになる。だからもちろん、僕がRTするときにはできるだけ多くの@XXXを入れたいが、通常は一番元のつぶやき主の@しか入れられないことが多い。逆にその体感のまま、日本語のつぶやきを書くと、いつもあれ?まだ字数あまっているという感じになる。自然にできる限りRTの前の人達の@XXXも入れることができる。また、このへんの体感の違いから、日本語ではどこかへのリンクなしで、つぶやき単体である感情や、告知などを説明することができるのに対し、英語の場合だいたいは、事情を説明しているブログなどの記事へのリンクへの導入としてのつぶやきが多い。 英語のつぶや

FriezeがリアリティTV「Apprentice」を断る

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全米でオーディションが行われた サラジェシカパーカーのアーティストリアリティ番組が 話題になる中、artinfo "Frieze Art Fair Declines an “Apprentice” Debut" によると、イギリス版の「Apprentice」が同様の番組を作ろうとして、最終的な勝者がロンドンのFrieze Art Fairで作品を販売できるというストーリーでFriezeに持ちかけたが、ブースのクオリティが保てるかわからないこと、とフェア自体の雰囲気にマッチしないということでこの話を蹴ったそうだ。まあ、テレビに疎い僕にとっては「Apprentice」といえばいまだにドナルド・トランプの"You are fired."(君はクビだ。)しかイメージにのぼらないからなあ。Friezeが断る気持ちは分かる。 サラジェシカパーカーのほうもオーディションにはどうやらアート界の大物が何名か審査員で出ていたようだが、このような番組を盛り上げるステージ作りのほうはどうなっているのだろうか。3月にアーモリーショーで特別ブースとかだったら笑える。 Frieze Art Fair Yearbook 2007-8 posted with amazlet at 09.07.30 Durian Publications 売り上げランキング: 158842 Amazon.co.jp で詳細を見る Apprentice: Complete First Season (5pc) (Full) [DVD] [Import] posted with amazlet at 09.07.30 National Broadcasting Company (NBC) (2004-08-24) 売り上げランキング: 49028 Amazon.co.jp で詳細を見る

カタログで振り返る7月のNYアートシーン

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基本的には日本でこのブログを読んでくださっている方が大半ということもあり、自分が見て、オススメできる展覧会のカタログを月一で紹介していこうと思う。全て、amazon.co.jpにリンクしてあるので、日本から簡単にオーダーできる。もちろん、それで興味を持ってリンクをたどってカタログを購入していただけば、ほんの少し僕に紹介料が発生することになっている。 これはいわずもがな。ロンドンのテートではじまって現在NYのメトロポリタン美術館に巡回しているフランシス・ベーコンの大回顧展のカタログ。250以上の素晴らしい作品写真に加え、多くの識者によるエッセイで彼の個人史、写真、映画など他のメディアからの影響などについてもわかる。 Francis Bacon posted with amazlet at 09.07.29 Matthew Gale Chris Stephens Tate Publishing 売り上げランキング: 12223 Amazon.co.jp で詳細を見る "Francis Bacon: A Centenary Retrospective" Exhibition Venue: The Metropolitan Museum of Art Schedule: From 2009-05-20 To 2009-08-16 Address: 1000 Fifth Ave., New York, NY 10028 Phone : 212-570-3951 Fax : 212-472-2764 フランシスベーコンとほぼ同時期にメトロポリタン美術館で行われていて、その陰に隠れた形になってしまったが、シンディー・シャーマン、リチャード・プリンス、シェリル・ルビーン、ジェームス・ウェリングなど欧米では巨匠だが、日本ではまだまだよく紹介されているとはいえない作家達のグループ展。70年代、80年代にNYで彼らが様々な関係をお互いに持ちながら写真、映像、その他のいわゆる新しいメディアを使ったアートを作り上げ始めていたことがわかる。 The Pictures Generation, 1974-1984 (Metropolitan Museum of Art) posted with amazlet at 09.07.29 Douglas Eklund

New MuseumのBlock Party

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先日の 美術館での写真撮影についての記事 は、多くの方にRetweetしていただき、またはてなブックマークを通じてすごい数の方に読んでいただけたようで、とてもありがたい。日本の美術館のコレクションについて、そもそも展覧会の写真撮影についてまだまだ書きたいことはあり、今後少しずつ折りをみて書いていこうと思う。 今日は少しローキーな話題。昨日は日曜日ということもあり、先週丁度展示がかわったばかりということもあり、そして何より近所の公園でBlock Partyとしているということを誰かのtweetで知って、 New Museum に行ってきた。新しい展示は、どれも割と政治的で、どれもうまくまとまっているいい意味でNew Museumっぽくなく大人な展示。 Block Partyというのはアメリカで週末によく行われる地域密着型のパーティーで、語源的にはあるブロック、ストリートを車両通行止めにして、そこで屋台を出したり音楽をかけたりして近所の人が楽しむというようなもの。今回のNew Museumのものはストリートではなく、近くの公園の一部で行われていた。行く前はNew Museumのパーティーだからまたオシャレ系のものかと思いきや、上記写真のとおり、野外にテントをはって、いわゆる普通の人々が行き交い、主に子供向けのワークショップをやっている、かなりローキーなもの。子供達は紙で王冠を作って、公園から美術館へのパレードに参加する。夏の日差しの下でも彼らは大喜びで作っている。また、地元の人にもっと美術館に来てもらおうと、このパーティーに立ち寄った人には手の甲にスタンプを押して、無料で美術館にも入れるようになっている。となりの公園では中国系の地元パーティーが行われていて、おじさんやおばさんがカラオケをしている。 美術館は、近視眼的に、今、お金を落としてくれる人々をターゲットにしたイベントが多いが、長期的な視野に立って、未来を背負う子供達、そしてまずは近所の人達を美術館にできるだけ誘い込もうというこのような地に足がついたイベントも必要なことだろう。まあ不景気で予算がカットされてということもあるかもしれないが、世界的に活躍するキュレーター達もインターン達に混じって、人々に水を配ったり、子供達と紙を切ったりしているのも、単純にいい光景だと思う。 Museum Management And

美術館での写真撮影について(森美術館のアイウェイウェイに触発されて)

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森美術館のアイウェイウェイ展 がクリエイティブコモンズのライセンス「 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 」を採用し、館内での写真撮影を認めたというニュースを確かtwitterで知って、単純に喜ばしいことだと感じた。 例えば、西日本新聞にはこう出ている。 「展覧会の撮影できます 東京・森美術館が試み」 日本を代表する現代美術館として知られる東京・六本木の森美術館は24日、25日に開幕する中国の著名アーティスト艾未未(アイ・ウェイウェイ)さんらの展覧会で、観客の写真撮影を許可する取り組みを試験的に始めると発表した。国内の美術館では非常に珍しい試みで、著作権をめぐる議論に一石を投じそうだ。  森美術館によると、撮った画像は加工せず、非営利目的で使う-などの条件で、誰でも撮影できる。著作権の柔軟な運用を目指す米国の運動「クリエイティブ・コモンズ」の仕組みを採用した。  国内では、所蔵作品展の撮影を認める美術館が一部にあるが、外部から作品を借用する企画展の撮影は、著作権の問題などからまず認められない。南条史生・森美術館長は「日本の美術館は少し厳しすぎる。知的財産をもっと創造的に使える条件をつくりたい」と話した。 このような記事に対して、ある美術館に勤める学芸員の友人がtwitterで、「今回のアイウェイウェイが話題になるにあたって、日本の美術館では写真撮影が海外に比べて、あまり認められていないという風潮は正しくないという旨(このtwitterを取り上げるにあたって僕はとてもありがたかったし、好意的に取り上げているつもりだが、本人に確認をとってないので、個人を特定できないように内容を意訳した。)」のつぶやきをしていて、1年ほど前の客観的ですばらしいあるブログ記事「 本当に館内での写真撮影ができないのは日本の美術館だけなのか 」を紹介していた。僕も今回はじめてこの記事を読んで、とても驚いた。この記事は全文をていねいにしっかり読んでいただきたいが、記事でのざっくりとした結論では、 つまり、こういうことだと思います。 * 欧米では著作権の明らかに切れている(作者の死後70年経っている)作品を中心的にコレクションしている美術館はそのギャラリーを基本的に撮影可にしている。 * 所蔵している作品でも、著作権のきれていない=作者の死後70年経っていない作品を中心にコレクシ

チェルシーの25丁目が韓国アート街化

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チェルシーだけでなく、ニューヨーク中でそれなりの数のギャラリーが閉まったが、そのあとにどんどん新しいギャラリーもできる。今日、夏休みに入る前のチェルシーを少し見て回って、25丁目に、Doosan Galleryが新しくできているのをみて驚いた。 この25丁目には、一昨年、去年と立て続けに、 Arario Gallery 、 Gana Art Gallery と2つの大きな韓国ギャラリーができたが、さすがに今年は不景気で進出はないと思っていたら、3軒目のギャラリーができたわけだ。このストリートには、マルボロ、ハイム&リード、ボルトラミなど大きなギャラリーが1階にあるが、それらに負けない勢いで3つも大きな韓国系のギャラリーができた。Doosanは日本でいう三菱のような巨大企業複合体で、その支援を受けた非営利のアート施設で、同じビルの上階に韓国の若手ー中堅アーティストをレジデンスさせて下で展覧会をすることでNYで韓国のアーティストをプッシュしていくようだ。現在は、Ararioが取り扱うHyungkoo Leeという2007年にベニスの韓国パビリオンに出ていた作家、Suejin Chungというペインティング、ドローイングの作家、そして以前森美術館でも展覧会をおこなったChoe U Ramの3人がレジデンスで来ていて展覧会をやっている。しっかりコンテンポラリーの一線級が選ばれてきているあたり教科書通りですばらしい。コマーシャルギャラリー、大企業の下の非営利組織が韓国という名の下でしっかりスクラムを組んでニューヨークでアーティストを売り込んでいるというのはすばらしい。 日本のコマーシャルギャラリーの皆さん、大企業のみなさんいかがですか?日本のコンテンポラリーアートをニューヨークで売り込みませんか? 現代アートビジネス (アスキー新書 61) posted with amazlet at 09.07.23 小山 登美夫 アスキー・メディアワークス 売り上げランキング: 18891 Amazon.co.jp で詳細を見る アート・インダストリー―究極のコモディティーを求めて (アーツアンドカルチャーライブラリー) posted with amazlet at 09.07.23 辛 美沙 美学出版 売り上げランキング: 41925 Amazon.co.jp で詳細を見る

もう一つのモビリティ

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Walkmanが発売されて30周年になるらしい。僕は今年31になったので、ほとんど同じ年だ。その間に、いろいろなものが持ち運べるようになったものだ。 今まで、大阪に18年、東京に約10年、そして今ニューヨークにいる。大阪の実家から、神戸の中学/高校に片道2時間(今考えるとすごいな)かけて通っていたのだが、ゲームボーイを買ってもらってゲームがその電車の中でできるようになったときには僕の生活に大きなインパクトがあった。大学で東京に出てきて一人暮らしをしはじめたときには、カセットテープやCDの段ボールを大阪から送る必要があった。もちろん本やマンガも。大学生活中にもCDは増えていったが、会社員生活をはじめて2003年にiPodを買ったときに、全てのCDをリッピングして、CD自体は処分した。その間も本やマンガは増え続け、引っ越しの荷物の半分くらいを占めるようになった。そしてニューヨークに引っ越しするときに輸送費が高いからとかなり絞って本やマンガを段ボールで数箱送った。 これまで、7,8回引っ越しをしている。なんとなくいつでも動けるようにと、モノは増やさないように生活してきたし、実際人にくらべてモノは少ないほうだと思う。 ここにきてKindleやその他電子書籍の普及、過去の書籍のスキャン、活字の電子化で、(今のところリッピングはできないものの)近い将来、なんらかの形で、僕の本やマンガもモノとして残す必要がなくなって大半を処分する日がくれば、僕の生活荷物は、パソコン、いくつかのガジェットと大半は服だけになる。その服だって、H&MやUniqloをシーズン毎のあなたのワードローブだと思えばかなり減る。もちろん寝る、食べる場所は必要で、家がなくなることはないが、ある都市のある家から別の都市の別の家に移るコストはどんどん下がっていく。 モノを持ち出せるという意味でのモビリティがWalkmanやゲームボーイのおかげで大きく向上し、ここにきてインターネット、ipod、Kindleなどのおかげでモノが電子化されていく過程で、自分の家、生活という範囲でのモビリティまでが向上しはじめている。 物理的、社会的重力の大きさは変わらないが、自分の質量を減らすことで、どんどん身が軽く自由になることができるのかもしれない。 仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書) posted with am

Virtual Art Fairの可能性

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先週の月曜日7月14日に、日本で初めてヴァーチャルフォーラムがネット上でおこなわれた。日経BP主催の「 NETMarketing Forum 2009 VIRTUAL 」というもので、サイト自体は8月10日まで開いているようなので様子はご覧いただける(ユーザー登録必要かも)。どういうものかというと、6月30日に現実に、 品川で開かれたオンラインマーケティングに関するフォーラム のヴァーチャル版。サイト内に、講演が聞ける場所と、各企業の展示ブースがあって、展示ブースでは、簡単なプレゼン動画、展示資料のダウンロード、初日であれば、各ブースのスタッフとチャット(今回はいれられていなが、技術的には音声、ビデオチャットも可能。)して詳しい話を聞いたり、後日のミーティングをアレンジしたりもできる。シリコンバレーとイスラエルに拠点を持つ Unisfair という会社がヴァーチャルフェアのシステム提供をしていて、アメリカでは、こういう実際のフォーラムを補完する場合だけでなく、割と大企業が、ヴァーチャル単体で、ジョブフェアをおこなったり、会社が従業員向け、顧客向けの遠隔トレーニングに利用したりされはじめているらしい。 一番のメリットは、実際の展示会より安くあがるということ、遠隔地で来にくい人も、自宅会社から参加できること。また、あらかじめ各自が登録したユーザー情報がチャットなどをする際に名刺交換さながら瞬時にシェアされ、後日わざわざスキャンしたりする必要もなく、そういう意味では実際の展示より便利な部分もある。よくよく考えたら、ウェブで各企業が日々おこなっていることとあまり変わらないが、大きな違いは、イベントとして事前に周到に告知し、その日、もしくは2,3日にそのヴァーチャルイベントに人が集まり、そこではビジネスなので割とオープンに個人情報であったり、会社情報であったりを交換して実際のビジネスにつなげていきましょうといういわゆるフェア、フォーラム的な運営がされていて、新しい人とオンライン上で実際に会うというところが単なるウェブサイトとの違いか。 これをちらっと見たとき、将来的にはアートフェアも、このような補完的なヴァーチャルフェアを用意するようになるのかなあと感じた。ヴァーチャルフェアは安いと行っても、数百万円からはかかるので、予算的には、まだ世界の大きなフェアしか準備は無理かもしれな

Sarah Jessica Parker/Bravoのアートリアリティ番組(オーディション当日)

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2週間ほど前にも、 サラ・ジェシカ・パーカープロデュースでアーティストのリアリティー番組が計画されているということを紹介した が、ちょうど、今日が、NYで2日あるオーディションの初日18日ということで、会場に行ってきた。 予想通りというべきか、予想以上というべきか、会場の前には長蛇の列で、となりの公園の周りをぐるっとアーティストの列が取り囲んで、ざっくり500人以上はいただろう。その様子は、上の写真や、 NYABに並んでいるアーティスト達のビデオをあげた ので、是非そちらをご覧ください。知り合いのアーティストが並んでいたので少し立ち話をしたところ、彼は10時開始の今回のキャスティングに8時半くらいから来ていて、それでも、100番目を少し超えたところ。みんな朝早くからがんばってきていたようだ。 NY Magazineの批評家、 ジェリー・ソルツのFacebookのページ上 (残念ながら友達しか見れないが)で、多くのアーティストが、4、5日前から、テレビ局からオーディションに参加してくれって電話がかかってきたんだけど、これどうなの?参加するべき?みたいな討論がされている。テレビ局もいいアーティストを集めるために、かなりのアーティストに電話攻勢をかけたようだ。そういうのもふくめて、結果的にはみんな半信半疑ながら、全米で数千人のアーティストはオーディションに来た訳で、バズをつくるのがうまいなあと感じる。 上のビデオを見ていただくのが一番早いが、来ていたアーティストは、以外と若いアーティストだけでなく、白髪の80年代にイーストビレッジでキースへリングや、ロバートメープルソープ達とつるんでいたようなアーティストから、カタカナで「オタク」と書いた鞄をかかえて、Nintendo DSをやっている人、全身裸にボディーペインティングを施した若い女性アーティストなど、本当に多彩。中にはシアトルからわざわざオーディションのためにNYまで来たというアーティストまでいた。アーティストが集まると通常のニューヨーカー以上に積極的で、写真やビデオをとっている僕たちを見つけては、番組関係者かもしれないとどんどん話しかけてくる。彼らと話していると、サラ・ジェシカ・パーカーのって言う話をしている人が多かったので、やはり彼女のネームバリューっていうのは大きくて、アートっていろんな意味で競争激しいなあと一目で

こんなに楽しい現代美術がわからないという人のための入門書(藤高編)

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昨日、みたいもんのいしたにさんの ”こんなに楽しい現代美術がわからないという人のための入門書” という記事を読んでとってもうれしくなった。というのも、いしたにさんは有名ブロガーだが、いわゆるアート関係者ではなく、アートに対しては一般的な人の目線で記事を書いていたから。こういうことってあんまりなかったんじゃないかと思う。有力ブロゴスフィア(この言い回しって古いのかな)で、建築、映画に関するものはたまにあり、まあデザイン関係の話題も散見されるとして、アートに関するものってほとんどなかったような気がする。あっても村上隆のMy Lonesome CowBoyが16億円で落札されたときくらいか。 これに触発されて自分も続けと思って、はたと気がついた。このブログを読んでくださっている方の中には僕がアートについては"よく"知っている人だという前提で読んでくださってる方もいらっしゃると思う。僕は、作品や展覧会そのものはできるだけ見るようにしているし、まあ割と見ているほうだとは思うが、実は、アートに関する本はほとんど読んでいなかったことに今更ながら気がついておどろいた。 さて、それでもその少ない中で、あまり説得力がないが、1冊あげろといわれれば、これ。 アート:“芸術”が終わった後の“アート” (カルチャー・スタディーズ) posted with amazlet at 09.07.15 松井 みどり 朝日出版社 売り上げランキング: 9387 Amazon.co.jp で詳細を見る 上野の森美術館の、高橋コレクションの「ネオテニー・ジャパン」が一人のコレクターによって芯が通っていて、現代アートになじみがない人にとっても取っ付き易い側面があるとすれば、水戸芸術館ではじまり、原美術館でも開催された、一人の批評家の松井みどりによって芯が通った「マイクロポップ」もまた一つのまとまりとして取っ付き易いのではないだろうか。松井みどりは、歴史を記録するだけではなく、歴史を紡ぎだしてもいる。その松井みどりが現代アートの”教科書”として書いた本書は20世紀以降のアート”ヒストリー”を概観できる数少ない本で、現代アートの展示をいくつか見たんだけど、なんか頭がまとまらないという人に特におすすめ。日頃見に行く現代アート展覧会が点だとすれば、この本がその点同士を繋ぐ大きな助けになってく

EtsyとZINE's MATE

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僕はNYにいるので残念ながら(本当に残念ながら)、実際に足を運ぶことはできないが、昨夜プレビューで明日7月10日(金)から公式オープンのアーティストブックやジンのフェアである ZINE'S MATE が原宿で 大盛況 のうちに始まったようだ。 実際には見れないが、主催のUtrechtの江口さんやPaperbackの面々とは、彼らが参加していた去年のNYでのアートブックフェアで会ったり、今年の101 TOKYOにパートナーとしてZINE'S MATEにプレイベントとして参加していただいたりで縁があって、彼らがやりたいだろうことはとってもよく分かったし、直感としてそれが東京にぽっかりぬけていた要素だとも(だから、そこに大きな需要があるだろうと)感じた。 実際に会場に足を運ばれたブルータスの鈴木さんが率直で簡潔ながらとても示唆的な感想を ブログに書いている 。 内容とか、イベントの評価について語りたいのだが、あまりの盛り上がりぶりに詳細なレポートはできません。すみません。丹念に見られてないので。『STUDIO VOICE』の休刊がショッキングに伝えられた週にこんな様子、なんだか皮肉というか、「こういうことなのだな」ということか。ちょっと偏屈な人は「雑誌は読むものから作るものになった」と言うのかな。僕はそう思わないけど。「雑誌は買って読むものであり、作る気になれば、誰でもが作って楽しめるもの」。そんなことは昔からそうだ。 ともかく、このイベントの意義は大きかった世界レベルで活躍するギャラリーから、たったひとりの出版社まで机を並べ、出版物を展示、販売、つまり競い合う。海外からの出品もある。雑誌に興味がある人は誰も、読者でも、あるいは僕のようにそれを生業にする人も、見ておくといい、というか楽しい。主催者がユトレヒトの江口宏志さんたちだというのがよくわかった。 そして、偶然ながら、同じような時間帯にtwitterを通して知った Etsy の副社長の インタビュー を読んだ。Etsyというのは、ブルックリンで始まって今や全世界で利用されているいわば「ハンドメイドでものを作る人達が売り買いできるコミュニティー/プラットフォーム」であるウェブサービスだ。アート作品から、ジュエリー、洋服、家具まである。個人がものを作り、それをサイト上で売り、世界中の手作りものが好きな人た

アート好きのための2009年夏NYのオススメ10(後半)

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Photos: Aneta Glinkowska さて、 前半 に引き続いて、”アート好きのための2009年夏NYのオススメ10”後半5つのご紹介です。 6. PLOT09 @ Governors Island 去年はオラファー・エリアソンの滝のインスタレーションをプロデュースした Creative Time が、今年は、上記写真は全てそうなのですが、マンハッタンから船でほんの10分のところにあるGovernors Islandにて、20人程度の中堅ー有名どころのコンテンポラリーアーティストを招いてパブリックアート展示を行っている。ここは以前軍事施設として使われていたところで、マンハッタンからこんなに近いとは思えない環境で芝生に古いタウンハウスが散らばっていて、屋外や、それらのタウンハウス内でインスタレーション展示が行われている。バッテリーパークの近くから無料のフェリーが出ていて、夏の間、金、土、日に開放している。ピクニックも兼ねて楽しめる。オススメ。 7. WarmUp @PS1 以前も少し書いた が、PS1にて毎年行われる一連のサマーパーティー。8月末まで毎週土曜日にPS1で2時から9時まで、音楽やパーフォーマンスを含めたクラブパーティー的なイベントが前庭で行われる。中にはagnes b.がスポンサーしている日もある。 8. Brooklyn美術館 ここも、夏だけでなく、年中トークイベントや、土曜日のイベントなどを頻繁に行っている美術館で、マンハッタンの数多い美術館をまわって手がいっぱいで、ここまでこれないという方も多いと思うが、今年の夏は、ヨーロッパ中から、森美術館にまで巡回してきた"Africa Remix"にも参加していた、 Yinka Shonibare MBE の大掛かりなソロショーが開催されており、一押し。2007年のベニスビエンナーレで初めて開催されたアフリカ館にも参加していた。 9. Dia Beacon かなり前からあり、 以前も紹介した ことがあるが、基本的には常設だけで展示がほとんど変わらないのでいったことがあるという方も多いと思うが、それでも、まだまだ認知度がそれほど高くないDia Beacon。ニューヨークの郊外にあり、1時間に1本程度しかない電車で片道に1時間半程度かかるので、基本的には1日がかりになってしまう

BlogのDesign更新

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Photo: Aneta Glinkowska NYに来て1年半程度経ち、少し時間もあるライフスタイルになってきたこともあり(いいのか悪いのか)、ブログを以前よりは少し真面目に書いてみようと思い、ブログのデザインを更新した。メインコラムの幅を広くすることで、大きな写真も載せることができる。また、全体的にすっきりさせた。 こういうものを書いたらどうだとか、NYのこういうところはどうなっているのかなどという要望や、質問などがあれば、是非コメント欄なり、メールなりでお知らせください。それに応えられるかどうかは別として、書く上での大きなやりがいにつながりますので。 また、 フリーランスの仕事 も継続的に探していますので、そちらもあわせて。 ちなみに写真は本文とは関係ありませんが、次に書こうと思っている”アート好きのための2009年夏NYのオススメ10(後半)”で紹介予定のGoverners Islandで夏の間行われているPlot2009というパブリックアートのイベントの作品の一つ。

アート好きのための2009年夏NYのオススメ10(前半)

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明日はアメリカの独立記念日ということで、金曜日の今日はすでに週末モード。自分たちが予定しているつもりだったビジネスミーティングも相手の担当者が時間になってもこないという形で自然消滅。日本だとこういうことないんだけどなあ。まあ、まわりの週末ムードのおかげもあってまあいいかという気持ちになってしまう。 最近、日本からの知り合いが来ては、どこにいくのがいいかとよく聞かれるので、アート好きのための2009年夏NYのオススメを紹介したい。ところで、結構アートが好きでよく知っている人でも忘れがちだが、チェルシーをはじめ、ギャラリーは8月はお休みで閉めているところがとても多い。開いていてもコレクション展だったり、新人作家のグループショーであることが多い。NYに来たからにはチェルシーで大御所の展覧会を見たいという方は9月にいらっしゃることをおすすめする。 とはいえ、夏には屋外イベントをはじめとしていろんなイベントが行われるし、美術館も特別イベントを沢山催すので、楽しみはいくらでもある。まずは前半5つご紹介。 1. High Line 上の写真なのだが、なんと言っても今年の目玉は、長い間計画されてきて延期されつづけてきたHigh Lineのオープン。何かというと、14丁目あたりのミートパッキングエリアから34丁目くらいまで10th Ave沿いに伸びる元鉄道の高架が使われずに放置されていたものを高架に草木を植えて、細長い公園として再オープンさせたのがこれ。現在は最初の半分のオープンということで、ファッションブランドがならぶミートパッキングエリアからギャラリー街のはじまる20丁目くらいまでが6月になってオープンされた。マンハッタンの新しい観光名所として当分は混雑しそう。水着で甲羅干しをしている人までいる。途中に、NYで様々なパブリックアートプロジェクトを展開するCreative Timeの 一つのプロジェクトである作品 もある。 2. Francis Baconレトロスペクティブ / Roxy Paineのルーフトップ展示 @メトリポリタン美術館 ロンドンのテートではじまったフランシス・ベーコンの大回顧展がMETに巡回してきている。これは本当に必見。同時に昨年はジェフ・クーンズだったルーフトップの展示は今年はロキシー・ペイン。雨だと屋上に上がれないが、天気がよければ軽食もとれるし確かお酒

Sarah Jessica Parkerがアートのリアリティ番組

結構長いこと噂には聞いていたんですが、"Sex and the City"でおなじみのサラ・ジェシカ・パーカーがプロデューサーになって、Bravoというチャンネル向けにアーティスト版のいわゆるリアリティ番組がついにスタートされるそうだ。今まで、ファッションデザイナーが勝ち残っていく "project Runway" というのは何シーズンかやって割と好評のようだが、アメリカでも、ファッションよりも世の中的にずっと間口の狭いアート業界を題材にするのははたしてテレビ的にうまくいくのかといわれている。まあ、直感的にはうまくいくんだろうと思う。一般的には全く知られていない業界で、神秘的なムードもただようし、昨今は大きなお金も動いていた訳で、普通の人からの業界に対する興味が盛り上がっている。丁度不景気だし、うまくビッグコレクター、ギャラリー、美術館有力者などを登場させてステージ作りはできるだろうし、この手の番組に欠かせない辛口の人はNYのアート業界にはいくらでもいる。 第一シーズン用のキャスティングオーディションが今月中に全米で開かれるそうで、紹介は こちらBravoのページ にて。ロス、マイアミ、シカゴ、ニューヨークであり、ニューヨークでは7月18日、19日に歴史ある(確か非営利)ギャラリーのWhite Columnsで行われるそうだ。僕はアーティストではないので勿論オーディションには興味はないが、いったいどういうアーティストが集まるかには興味があるので、覗きに行ってみたいなと思っている。23ページもある契約書を記入して、置いてくるようのデジタルポートフォリオ、その場で見せるようの実際の作品などを持っていけばいいようだ。日本のアーティストの方もいかがですか?もしかしたら大きなチャンスかもしれない。まあ、こういう番組は大半の出演者は、いろいろ大変なことをさせられて、恥をかいてお茶の間の笑いの種になって終わりだが、多分間違いなくスターも生まれるんだろう。たけしの誰でもピカソよりもアプローチはずっと低俗なのだろうが、結果としてはこんな番組からのほうがアーティストとしてのスターが生まれそうだ。プロデューサーが他の誰でもなく、サラ・ジェシカ・パーカーっ ていうところがまたにくいなあ。なんかぽいもんなあ。 今年の不景気で元気がないアート業界の変わり

Gramercy Park HotelのDamien Hirst

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マンハッタンの20丁目とLexinton Aveに Gramercy Park Hotel というホテルがある。昔かよっていた学校がすぐそばだったし、Gramercyとよばれるこのエリアはマンハッタンの中にあって数少ない静かで落ち着いた雰囲気で好きだったこともあり、このホテルの存在は昔から知っていた。Gramercyはいわゆる高級住宅街で、ユマ・サーマンなんかも住んでいたはず。Gramercy Parkはプライベートな庭で近隣住民で鍵を持っている人だけが入れる公園。ホテルはその前にあるので直接は関係ないと思うが。 最近になって大きなリノベーションをして、1階にWakiyaという日本人オーナーの中華料理屋があって、ここだけ一度行ったことがあったがホテルには入ったことがなかった。もしかしたらとっても有名なことなのかもしれないが、最近友達がここに泊まって、ホテル中にアート作品があるから見に行こうということでつれてきてもらってびっくり。ロビー、トイレの待ち合い場、各部屋にいたるまでコンテンポラリーアート作品が飾ってあって、大きなウォーホルなんかもある。極めつけは 屋上のバー (リンク先で写真が数点見れる)で、泊まりの客しか入れてもらえないが、いくつかの部屋に仕切られたバーの中に、大きなウォーホールが2、3点、ダミアン・ハーストの薬棚(8億円相当とのこと)、ドットペインティングなどが割と無造作に置いてある。酔っぱらいがぶつかったりしないのかな。こういうところでも、去年、一昨年のアートマーケットの活況はささえられていたんだなあなどと思ったりした。 知り合いが泊まっていた一番シンプルな部屋にも見覚えのある写真(ウェストンだったかなあ、スティーグリッツ??お酒のせいで覚えていない)がかざってあり、スイートなんかには大きな作品があるんだろうと思うと、このホテル一つで中規模の美術館程度のコレクションになるなあという感慨にふける。 聞けば、このホテルもイアン・シュレーガー系で、近年のリノベーションを、アーティストで映画監督のジュリアン・シュナーベルが手掛けたとのこと。アーティストとしては80年代に大人気になって、その後、バスキアの映画を撮ったり、最近だと全身不随になったエルマガジンの編集長に関する映画の『潜水服は蝶の夢を見る』を撮ったりしているが、なるほどなと思った。生粋のニューヨークの