Tuesday, January 26, 2010

Tokyo Art BeatのDonationキャンペーンについて



このブログを読んでいただいている方はご存知の方も多いかもしれないが、先週、Tokyo Art Beatを運営するNPO法人GADAGOへの寄付募集のキャンペーンをはじめさせていただいた。詳細は寄付ページより。是非よろしくお願いします。TABを初期から支えてくれている橋本さんも勇気を振り絞ってArt itで紹介してくれています。

現在、開始から1週間たらずのうちに、世界中の50人以上の方から総額13万円以上の寄付をいただいている。1ヶ月のキャンペーン期間のうちにどれだけご支持いただけるかはわからないが、目標は大きく150万円としている。私は、現在、NY Art Beatの運営をしていることもあり、TABの日々の業務には直接的にはタッチできていないが、NPO法人GADAGOの3人の理事のうちの一人に名を連ねているし、またもちろんTABは自分の子供のような存在でもあるので、できるだけ状況は把握して、手助けができるところはするようにしている。

今のところTwitter経由の告知からしていただいている寄付が大半だ。直接的にTABのtwitterのつぶやきから知っていただいた方、TABをサポートしてくださる有力Twittererの方のRTから来てくださるかたなど。また、Twitter経由で、寄付だけでなく、情報公開が足りないなどの重要なアドバイスもいくつかいただき、まだまだ全然足りないが、急遽NPO法人GADAGOについての記述を追加したりしている。

NPO法人GADAGOは大きく2つのことを行っていて、1つがTABの運営、そして年6回のアートマップの発行で、ざっくりどちらも年間1000万円程度の予算で行っている。支出の内訳としては、サイトのほうが人件費(広報、営業、編集、翻訳)が大半、あとは事務所家賃、そしてサーバー代その他というところ、マップは紙、印刷代が大半、運送費、人件費(デザイン、営業、編集、翻訳)というところで、サイトの中のTABlogの執筆、編集、そしてサイト全体のデザイン、プログラミング、その他多くの部分を無償のボランティアに頼っている。逆にその予算の収入を見てみると、サイトのほうはバナー広告が大半、そしてTシャツを中心とした物販、若干の寄付、マップのほうは、マップ上の広告、記事タイアップが大半、石橋財団からの助成金(3−4割)という内訳になっている。

今回の寄付キャンペーンには2つの側面がある。多くの方の目にはTABは今回はじめて寄付を募っているように見えるかもしれないが、実は、NPO法人で運営するサイトとして、毎年のようにサイト上で寄付を募ってきた。そこでも、運営者から顔の見えるサポーターを中心に若干の寄付をいただいてきた。今回はやはりTwitterというインフラができて、TABもそれを積極的に利用してきたことで、日常的にユーザー、サポーターの方々とのコミュニケーションが発生するようになってきていた。そのインフラの上で、寄付の告知を行えたことで、今までよりもずっと大きな反響をいただけているし、また自分たちに抜けている部分を指摘していただけたりしている。サイトとユーザーの単発のコミュニケーションだったものが、サイトとユーザー、そしてユーザーからユーザーへという複合的なコミュニケーションに変化したようだ。このTwitterをはじめとする各種SNSなどのウェブ上のコミュニケーションツールによって、TABというサイトがそのサイトを超えたコミュニケーションをウェブ上で行えるようになってきたということか。つまり、コンテンツを載せたページを生成して、一部コメント欄などはあるものの基本的なコミュニケーションはメールや電話というウェブ上ではないツールに頼っていた時代から、ウェブ上にコミュニケーションそのものが起こっていくという時代になったのだなあと感じる。

もう一つの側面は、毎年やっていたとはいえ、今年はやはり特別で、キャンペーンページでも強調しているように、TABが財政的にとても厳しい状況におかれてしまったということがある。月並みな言い方をすれば、リーマンショック以降の世界の不況の波はTABにも押し寄せてきていて、サイトのメインの収入源であるバナー広告が2009年にはかなり売りにくくなったのだ。コストのかかる紙のマップをやるから大変で、まずはそれを辞めればいいのでは?というようなご意見もよくいただくのだが、実はマップは、モノが手にとれて、都内アートスポットで10万部というのには結構需要があるようで、未だにウェブよりもずっと実感しやすく広告を売りやすい媒体なのだ。もちろんマップがウェブの顧客をくってしまっているところは若干あるにせよ、結構別のクライアントが買ってくれている部分も大きく、マップをやめればサイトの財務が改善するということはなさそうだ。不況不況とは言いたくないが、結論としては、TABの広告のクライアントである美術館、ギャラリー、アートデザインコンペといった業界は2009年はかなり厳しく広報予算などをカットした影響で、身体的実感の無いバナー広告は真っ先に厳しい状況になり、もっと実感しやすいマップを始めていたおかげでそこの広告に助けられているというところか。

アートビートは規模としてはニッチだし、とても小さいし、ウェブでスタートしたメディアだが、根本的には全世界のメディアビジネスが直面している状況、つまり従来のメディアが頭打ちで、皆がウェブに流れはじめ、あるところでウェブからの収益が上がって従来メディアの減分を相殺してメディアビジネスの損益分岐点が見つかると思っていたのが、どんどん損益分岐点らしき点が下に降りて行っていて、どこで均衡するの???みたいな雰囲気の一翼はになっているような気がする。ウェブ前までは、広告のスペースというのは世界中で有限で、それをもとにどのくらいの人が見るかで単価が決まっていたのが、ウェブページがどんどん生成されはじめ、広告スペースが有限ではなくなってきたところで、どうも人のメディア消費時間のほうが有限なんだなと言う感じになって、メディアの単価が全体的にぞぞぞと落ちて消費時間のところでの均衡点を探っているという状況かなと。Avatarみたいに3時間弱のコンテンツを何百億もかけて作って、それを世界中で何億人もの人が2千円払って見るというものと、世界中で何億ページと生成されるページを常にボットでインデックスしていってそれをコンテンツにしていくGoogleのような存在の間で、大規模メディアも僕たちみたいな小規模メディアもコンテンツ生成のコストとその消費の大きさ・質から得られる収入の均衡点を探るためにもがきながら戦略を決めあぐねているということだろう。

長くなってしまいましたが、TABは皆様の寄付を必要としております。
こちらの寄付ページから是非よろしくお願いします。

Friday, January 15, 2010

あけましておめでとうとTokyo Art School告知



少し遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
ブログは3ヶ月も停滞してしまった、、、。

お正月はできるだけ家族が住む関西で過ごそうとしていて、今年も京都の祖母の家で過ごした。
ただ、12月31日にNYを発って、1月1日に日本に着く飛行機で帰ったのだが、これをやると年越しの瞬間というのが無くなってしまうことに飛行機の中で気がついた。大晦日のお昼くらいにNYを出るときに、日本はだいたい年越しを迎えており、そのまま、飛行機はだいたい時差と同じくらいの速度(つまり地球の自転の速度)で飛行機が移動するので、飛行機がいる場所の時間(アラスカを通るときにはアラスカの時間)はほとんど一定なので、ずっと大晦日の午後なのだが、日付変更線をまたいだ瞬間に1月1日の午後になってしまうのだ。まあ、よく考えれば当然で、今までにNYと東京を何往復もしていて、その間に同じことはいつも起こっているに、年越しという特別な瞬間にそれをやると突然不思議な気分になる。ということで、今年は心情的には年越しはありませんでした。
よく聞かれたのが、年越しのフライトなのだから、シャンパンのサービスくらいあるの?という質問だが、僕たちはANAで飛んだが、何も特別なことは無かった。まあ、それとは無関係にエコノミークラスの座席をプレミアムエコノミーという食事は一緒だけれど座席が一回り大きいものにアップグレードしてくれたので、割と幸せな気分で帰国することができた。

関西では祖母の家で、基本的には何もしないで、美味しいおせち料理を食べて、お酒を飲んでいただけ。
ワイン好きの叔母が、すばらしいワインのセレクションをご馳走してくれて、最高だったのは、なんと、毎年ラベルにファインアーティストを起用しているムートン・ロートシルトの2003、この年は、ロートシルト(ロスチャイルド)家がワイナリーを買って150周年ということで、記念ラベルでアーティストのものではなかったが、味は、ワインは好きでよく飲むけれど高いワインはほとんど知らない僕にも
飛び抜けて美味しかった。

東京に移動してからは、夫婦二人で10日ほども2人の友人の家にお世話になってしまった。東京では、2日間は、人から頼まれて取り組んでいるキース・へリングに関するとても興味深くて意欲的な手法で書かれた英文エッセイ(約40ページ)の翻訳の仕事をみっちりやった以外は、美術館やギャラリーを回ろうと考えていたのに、結局は美術館はほとんど行けず、新しくできたギャラリーをちらほら見に行っただけで、様々な友人とご飯を食べてお酒を飲んでという今までで一番長い2週間も正月気分で過ごすことができた。



僕たちが泊めてもらっていた友人の一人が、建築家/アーティストグループのassistantの有山宙君夫妻宅で、実は彼とは中学校、高校、大学が同じでかれこれ20年近くも友達だ。建築だけではなく、現在だけでも、国際芸術センター青森での展示、京都芸術センターでの展覧会に参加しているし、Pass the Batonという丸の内一号館にできたショップから広がるウェブメディアにも文章を書いていたり、活動はとても幅広い。彼らがお台場の未来館で今行われている「‘おいしく、食べる’の科学展」の会場設計をはじめとするアートディレクションをやっているので、見に行った。会場構成には仕切りの壁はほとんど使わず、何本もの荒縄を張り巡らすことで順路を作り、展示パネルなども荒縄に掛かっている。そのことで入り口から出口までしっかり順路があるにもかかわらず、常に会場全体が見渡せ、そのことで、展示物同士の関係性(食に関するサイエンスの展示なので、科学的関連)をイメージしやすいものにしている。また、美術館、博物館が醸し出しがちな堅苦しさからはとても自由な空間だ。子供が多い展示だが、一つ一つの展示に、触ったり、嗅いだり、何かしらの身体的反応ができるようになっており、開放的な展示空間と合わさって、彼らは奔放に展示空間で遊び、そして意識することなく少し学んで帰ることができていた。

長くなったが、最後に告知。
東京都の東京文化発信プロジェクトと、AITが共同で開催している年間を通じたレクチャープログラムの東京アートスクールの一環として、私もNYから呼んでいただいて、3月にレクチャーを行いますので、是非。

「テクノロジー・情報・身体」
藤高 晃右 × ドミニク・チェン
会場:3331 Arts Chiyoda 体育館(東京都千代田区外神田6丁目-11-14 旧錬成中学校)
期日:2010年3月13日(土)13:00-16:00
入場料:各回一般1,000円、学生/AITメンバー800円 ※当日受付にて支払い
申し込みなどの詳細は下記から。
http://www.bh-project.jp/artpoint/lecture/100313-01.html

以前に展示、レクチャーの企画などで仕事もしたことがあり、友人のドミニク・チェンと、東京という街を軸に、ウェブと文化に関するレクチャーになると思います。内容はこれから僕もしっかり考えて用意しようと思いますが、Tokyo Art Beat、NY Art Beat、101 TOKYOで得た経験をもとに、NYと東京の比較、そしてウェブと文化の関わりについて話そうと思っています。会場がなんと2008年に第一回目の101 TOKYOを開催した旧連成中学校に今年の3月にオープンする3331 Arts Chiyoda内の体育館です。なんという巡り合わせ。